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マンダロリアンのMASHのレビュー・感想・評価

マンダロリアン(2019年製作のドラマ)
4.0
スター・ウォーズのEp.6とEp.7の間の出来事を描いたドラマシリーズ。どこまでスター・ウォーズ関連の作品を作るんだと思う人もいるだろうが、個人的には映画ではなくこういう形で展開されるのには大歓迎である。あれだけの種族やら世界が目の前に広がっているのに、血筋に関わった話しかしないのはあまりに勿体ないからだ。そして『マンダロリアン』は良いスタートを切ったと言える。

このシリーズでやりたいことは明確。要は「SF×西部劇」だ。ジョン・ファブローが『カウボーイ&エイリアン』で失敗したジャンルに再び挑戦したというわけだが、今回は概ね成功していると言える。一応ザ・チャイルドを守るという大筋は存在するが、基本的に1話完結。昔のテレビで放映されていた西部劇を意識しているのだろう。主人公がある星に行ってはそこで問題を解決し、また次の星を目指す。ここがこのシリーズの面白さでもありウィークポイントでもあるのだ。

チャプター1は西部劇風味たっぷりの最高のオープニングであり、チャプター2, 3でマンダロリアンのキャラを作り上げている。各話30分程度なので非常に観やすいのも良かった。だが、そこから徐々にクオリティが下がっていく。1話完結である以上新キャラが登場しては去っていくのはしょうがないが、チャプターを追うごとにそれがどんどん適当になっていくのだ。チャプター6なんかは戦隊シリーズを観ているようだった。

「こんなもんかぁ」と少々がっかりしていたが、チャプター7になりいきなり話が一気に盛り上がる。それまでの登場人物が集結し、団結して敵に立ち向かう。敵のボスも出てきて、銃撃戦やら籠城戦やらが始まり、キャラ同士の掛け合いも一気に面白くなる。特にマンダロリアンとIGの関係は泣けてくるレベルだ。ベストエピソードに選ぶ人がいるのも納得。最初と最後が一番面白くて、中盤がダレるというのはよくあること。そこを上手く最後へのセットアップにしている部分もあるが、チャプター6のようにただただ微妙な回もあるのが少し残念。

とまぁ文句は言ったものの、このシリーズの最大の見どころはストーリーではなくマンダロリアン自身のキャラだ。個人的にはスター・ウォーズ史上で一番良いキャラだと思っている。顔を見せないにも関わらず、彼の持つ複雑な葛藤や怒り、優しさという様々な面を感じる事ができる。そして物語の中で変わっていく彼の姿に心を打たれ、彼とザ・チャイルドの行く末を見守りたくなるのだ。微妙な部分もあったシーズン1だが、このキャラがいる限りシーズン2はきっと最高のものになるだろう。
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