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はだしのゲンのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

はだしのゲン(2007年製作のドラマ)
5.0
太平洋戦争末期の広島。慢性的な食糧難が続き、朝晩の区別なく空襲警報が鳴り、日本は敗戦への道を着実に進んでいた。しかし国は徹底抗戦の構えをますます強くし、二十歳前の少年たちにも赤紙が届き、一方で戦死の報せが相次いだ。そんな中、中岡大吉(中井貴一)は下駄の絵付け職人を営みながら、 妻の君江(石田ゆり子)に支えられ、4人の子供たちを懸命に育てていた。家族思いの長男の浩二(中尾明慶)、体が弱いながらも家事を手伝う長女の英子(小野明日香)、腕白で口は悪いが底抜けの明るさと優しさを持つ元(小林廉)、末っ子で甘えん坊の進次(今井悠貴)。そして近くもう一人子供が生まれる。町外れにある麦畑では、まもなく豊かな穂が実る。その麦で作るパンやうどんを食べることを心待ちにしている子供たちに大吉はいつも「麦のように、踏まれても強くたくましく生きろ」と教えていた。軍部が本土決戦、国民総玉砕を唱える中、大吉は徹底して反戦を唱えていた。
そのため中岡家は日ごろから非国民とさげすまれ、いじめられている。そしてついに反戦主義者の大吉は投獄されてしまう。やっと一家で一緒に暮らせるようになったある日、長男の浩二は町内の嫌がらせに耐えかね、家族の猛反対を押し切り出征していく。そして訪れた運命の8月6日――。青空が広がる広島の、いつもと変わらぬ朝。草の入った汁の椀が並んだ食卓で、大吉が「今日麦を刈る。よう辛抱したな」と子供たちに話す。元はいつにも増して元気に学校へ走って行く。その直後、8時15分。上空600メートルで世界初の原子爆弾が炸裂した。
中沢啓治の同名漫画をドラマ化。
反戦主義の大吉が迫害され、英子が盗みの疑いをかけられたり、親類を頼って身を寄せても食い物が減ることを嫌がる親類の子にいじめられるエピソードなど、アニメ映画ではカットされたところまで、原作漫画に忠実に描かれていて、原爆の悲惨さ残酷さだけでなく、戦争で心身共に追いつめられ優しさすら失くして原爆の被害者を差別したり生きることで精一杯になる戦争の残酷さや苦しみに負けずたくましく生きるゲンたちのバイタリティ両方をしっかり描いていて、「はだしのゲン」の実写化として完璧なスペシャルドラマ。
中井貴一、石田ゆり子、りょう、成宮寛貴など演技派俳優の熱演はもちろん、小林廉たち子役の演技も、素晴らしかった。
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