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Dr.コトー診療所2004のmoeのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所2004(2004年製作のドラマ)
4.3
Dr.コトーシリーズ初見でした。
とはいえ舞台となった沖縄県与那国島には長期滞在していたことがあり、今もセットとして残っている診療所には何度も足を運んだことがありました(熱中症になりかけたとき本当に診療所かのように利用させてもらったこともあります。笑)
そしてドラマ内で映っている場所が全てどこか分かる、というそれだけでも私にとって面白いドラマなのです。

が、本当に、それを抜きにしてもびっくりするくらいの名作。実際島に行ったことがあるからと油断して(?)今まで観ていなかったことを激しく後悔してます。
終始穏やかに、ほとんどBGMのない中で島の音や人々の声、表情を丁寧に映し、淡々としているのに大きなうねりが巻き起こっている。そんな謙虚な力強さを感じるドラマでした。

島の人たちの雰囲気がマイルドに表現されているのも面白かったです。
泉谷しげるが一番荒くれ者のキャラクターでしたが、あれより凄まじい人がふつーにわんさかいます。褒めてます。笑
祭りのあと流血沙汰になるのも、あれリアルです。

島っ子の子役さんたちは、ときおりエキストラで画面に現れるホンモノの島っ子とのテイストの違いが本当に面白く...。笑
剛洋は小学生のうちに島をあとにしますが、高校のない離島では「15の春」という言葉があるように、ほとんどの子どもが15歳で島を出ます。そのせいか、島っ子たちは内地の子どもに比べて本当にしっかりしていてしたたかだなといつも思います。そして周りを取り囲む大自然のおかげかパワフルで明るく、とにかくエネルギーに満ちている。そんな印象です。
とはいえ今作の主人公とも呼ぶべき剛洋くんの演技は本当に素晴らしく、コトー先生を脇役にしてしまうかのような、そんな勢いがありました。

与那国でお会いしたコトーファンの皆様が口々に言っていたのは「コトー先生健脚すぎ!」ということ。確かに地理が分かっていると、コトー先生が凄まじい距離を自転車で走破してるのが分かってしまいます。意外と大きい島なんですね、与那国は。車がないとたぶんお医者さんはきついです。笑

お祭りシーンで少し映った踊りのようなものは、実際の島の伝統芸能です。本当にどっぷり与那国なドラマでした。

実際に自治医大の研修生として島の診療所に来ていた方とお会いしたり、島のお年寄りと話したりすると、このドラマで描かれたような僻地医療の厳しさを身近に垣間見ることができます。診療所にはありとあらゆる症状の人が来るし、歯医者に行くだけでも飛行機に乗らなくちゃならない。

それでもこの島が好きで、ここで生きていくという覚悟というより悦びを高らかに纏っている。そんな島のひとたちが大好きです。

原作のモデルになっている鹿児島県の下甑島にも行ってみたいですね。
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