かじドゥンドゥン

鬼畜(2017年版)のかじドゥンドゥンのネタバレレビュー・内容・結末

鬼畜(2017年版)(2017年製作のドラマ)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

街の小さな印刷所を夫婦二人三脚で営んできたものの、或る日、夫の愛人が押しかけてきて、隠し子3人を置いて去る。夫の裏切りを知った妻は鬼に変貌し、私生児3人をどうにか始末するよう、夫に迫る。一番下の幼い次男は妻がついに殺害し、残りの長女と長男を夫が殺めようとするが未遂に終わる。二人の罪が露顕したところで、妻はすべての罪を自分がかぶろうと自白し、直後に服毒自殺。それでも夫は懲役7年を言い渡され、模範囚として出所後は、まず妻の墓を参る。子らは施設におり、服役中の父とは面会と手紙でやりとりしてはいた。

夫が我が子の命よりも鬼嫁の指図を優先するのは、二人が福岡から駈落ちして一から今の生活を築き上げた歴史と恩があるから。羽振りが良いときに印刷所が火事になり、また振り出しに戻るも、どうにか立ち直れたのは、妻の働きによる。この辺の苦労話をもう少し印象的に描かないと、夫の行動に説明がつかない。

夫は眠った長男を崖から落とすが、木に引っ掛かって命拾いしたらしく、警察に保護されて帰って来る。息子は、自分が寝ぼけていて、ひとりで崖まで行って落ちたと証言。父をかばう。これを単に、父親想いのけなげな少年と解釈して描いたのでは不十分だろう。父に愛されるどころか、殺されかけた自分の惨めさを容認できず、その事実を改竄して自分の存在価値をかろうじてつなぎとめようとしている、そんな必死の嘘。