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鬼畜(2017年版)のnorisのレビュー・感想・評価

鬼畜(2017年版)(2017年製作のドラマ)
2.5
大方の予想通り、#常盤貴子 は岩下志麻の迫力に遠く及ばず、玉木宏も緒形拳のような苦悩ぶりを表現できなかった(2002年版のビートたけしはよかったと思う)。子供たちを棄てた木村多江は、映画の小川真由美の線を踏襲していたが、たけし版ではなんと室井滋が演じている。これは酷薄さの点でピカイチではないか(原作では子どもの父親は外交員の石田と匂わせている。つまり真の鬼畜はこの女なのだ)。

さて原作の舞台は「東京から急行で3時間かかる地方都市」なのだが、本作はなぜか京都と奈良で撮られており、どこだかよくわからない町になっている(冒頭で木村多江が子どもの手をひいているのは時代劇でお馴染みの京都木津川の流れ橋だ)。その点、映画はロケハンが素晴らしく、埼玉県の男衾(寄居町)という、よく見つけてきたというような町がいいし、やはり長女を棄てる東京タワーがいい(原作では「銀座のデパートの屋上」、本作では生駒山上遊園地)。

本作で一番驚かされるのは、常盤貴子が発作的に青酸カリを飲んで死に、玉木宏が逮捕されて、5年後に出所して常盤の墓参りをするところまで話が続くところだ(どういう意図なのだろう?)。原作は警察が印刷所を突き止めるところで終わる(清張独特のドライな下げ)。映画は、父親を庇う長男が「知らない人」と強弁する泣かせどころをクライマックスにしたことでヒットした。同じシーンは本作にもあるのだが、さらりと流されていて拍子抜けした。
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