るる

セックス・エデュケーション シーズン2のるるのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

配信を楽しみにしていた、一気見。物足りなさがあったシーズン1よりも、求めていたものに肉薄。良かった。

じんわりと、たくさん泣いてしまった、ぐっとくるポイントはたくさんあったんだけど、

女たちの団結、あのシーンにアジア系の女が含まれていなくて辛かった、見たかった、いや、見てしまったらフィクションから突き放される感覚で立ち直れなかったかもしれないので、目の当たりにしなくて良かったのかな、いま海外に出ても儒教的価値観と家父長制にがんじがらめのいかにも東アジア系な私は救われない、彼女たちには混ざれない、と思い知らされた気がして、つらかった、フィクションを通じて理想郷を夢想するのではなく、現実を見つめてここで生きていくしかないのだと腹を括るしかなかった。

バスで痴漢にあったエイミー、アフターピルを薬局に貰いに行ったアニーとオースティン、日本が舞台だとどんな描写になっただろうかと真剣に考えてしまったので目眩がした。

日本ではアフターピルは薬局では売ってない、産婦人科での処方が必要、定休日だったらどうしようもない、経緯を聞いたうえで出し渋る医者がいる、知ったときに死にたくなったことを覚えている。

痴漢に遭ったという自覚がなかったエイミーを心配して一緒に警察に行ってくれる親友がいた奇跡(あとになってあのとき自分は被害者だったのだとひとりきりで気付く恐怖や悔しさを回避できてよかった、警察官がきちんと対応してくれてよかった)、
バスに乗れなくなってしまったエイミーと付かず離れずいてくれる男の子がいた奇跡(なぜ乗れないんだと説教してくるようなクソ男じゃなくて良かった)、
バスに乗れなくなっちゃったの!というエイミーの叫びを受け止めて心配してくれる仲間たちがその場にいた奇跡(うるさい、また言ってる、などと癇癪扱いされなくて良かった)、
私も、私も、と自身の性被害体験を打ち明けて寄り添ってくれる仲間がいた奇跡(孤立しなくて良かった、そんなのありふれてるから気にするなと軽視されなくて良かった)、
一緒に怒って、気晴らしに付き合ってくれる仲間がいた奇跡(普段から付き合いのある親しい友達じゃない、行きずりの仲間、だからこそ、この世界を信頼できる、良かった)、
男から受けたトラウマを乗り越える支えをしてくれる男の子がいた奇跡(男に絶望し続けずにすんで本当に良かった)、

全部奇跡に見えた、でもこれが当たり前の社会があるんだ、そう思うと羨ましすぎて、羨ましい、新鮮だ、と感じてしまう自分が情けなくて悔しくて、つらかった、


見終わったとき、ちょうどセンター試験の早朝で、居てもたってもいられず#withyellowと印字した紙タグを自作した(子供に自衛を促すような文言は絶対使ってはならないし、痴漢を許さないという文言を使うことで痴漢という言葉が目に入って、気が滅入ったり無闇に不安にさせるようなことがあってはならんだろうと、わかるひとだけわかるように英字ハッシュタグのみにした)
朝、電車に乗る予定がある身内に、受験生を狙う痴漢がいるらしい、痴漢を許さないというアピールになるらしいからコレをカバンにつけてほしい、と頼んだら多くは聞かずに快くつけてくれた、奇跡、と思った。自己満足でも行動できたことが嬉しかった。

その後、自分でも試しにカバンにつけて歩いてみたんだけど、後ろから蹴られるんじゃないかと怖すぎてしんどすぎてフラッシュバック起こしてすぐやめてしまった。向いてない。誰かを助けられるほど回復していない。助けてほしいとは口が裂けても言えない、身内に心配をかけるわけにいかないので自助するしかない。また落ち着いたら再見して元気をもらおうと思う。


あ、ドラマの結末には、えーっ。シーズン3も楽しみに待つ。気持ちが置いていかれないように価値観のアップデートを心がけたい。
るる

るる