くもすけ

エスケープ・アット・ダンネモラ~脱獄~のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

脱獄に成功したあとタブロイドが見出しに使った通り、ショーシャンク・セックス・トライアングルな話。派手な展開はなく、老朽化した壁を破るのはに必要なのは忍耐と根性だけに見える。
5話にしてロングテイクの連発。6話では過去のフラッシュバックを16mmで撮っている。ラストエピソードは二本分の長さで、前半はただ殺されるだけの警官の最後の勤務をじっくりと撮る。
実際の事件には読んで面白いところはなく、ドラマゆえもの哀しい味わいがでている。

パトリシア・アークエットが本人そっくりに役作りしている。40ポンドの増量、へこんだ前歯。思えば「6歳のぼくが大人になるまで」で最も説得力があったのは、時間とともにたくましくなっていく彼女の胴回りだった。

当の「ティリー」に取材した記事がある。出口を作るのに渡した糸鋸の刃はウォルマートで99セントで購入したそうな。ドラマは見ていないが、夫や友人から話は聞いており、不愉快な様子。

“Ben Stiller is a son-of-a-bitch liar just like the rest of the world. He doesn’t care about the truth. All he cares about is making millions off me. He’s an idiot.”
https://nypost.com/2018/12/22/joyce-mitchell-rips-ben-stiller-over-escape-at-dannemora/

ドラマの舞台になった収容施設は、ニューヨーク州クリントン郡ダンネモラ。州北東隅に位置しカナダケベック州に隣接する。
ダンネモラの名前は入植したスウェーデン移民が故郷ウプサラ県にあるダンネモラ鉄鉱にちなんで名付けられた。ダンネモラもかつては鉄鉱が主な産業だったようだ。
 
収容施設クリントン矯正施設はしばしば「ダンネモラ」の名前で呼ばれるが、施設が位置する町の名前にちなむだけでなく、1970年まで存在した敷地内の精神異常犯罪者収容施設のイメージも想起しているようだ。Church of St. Dismas, the Good Thiefは重要歴史建造物として保存されている。
2008年に死刑廃止されたが、第一級の終身刑囚たちが顔を揃える由緒正しい極悪人収容施設。

ニューヨークのリトルシベリアと呼ばれるほど冬は冷え込み、州内52ある矯正施設のうち最大の大きさを持ち(3000人収容)、1000人を超えるスタッフが働いている。
ちなみにダンネモラ市内の人口は4000人なので、施設の存在感がいかに大きいことか。2015年に起きた脱獄事件によって、いよいよ町の名前が刑務所と同一視されるきっかけになったのではないか。