久しぶりに水々しい青春モノを、と思い鑑賞し、恋愛脳過ぎない飽くまでも自然体な恋愛と、完璧に思えた生活の綻びが露呈する展開に、飽きずに鑑賞できた。音楽や俳優陣もチョイスが良く、シーズン通してスタイリッシュでAestheticな印象が残る。
主に五つの家庭に関わる登場人物たちがそれぞれに絡み合うことで、様々な問題の原因や影響が複雑に作用し合う様子が描かれており、狭い世界ながらも説得力のある人間ドラマを見ることができる。また、SNSでの交流も当たり前のように取り入れられ、お互いを知る土台にしていたり、すれ違いが起きたりなどと上手く演出に使われていた。
このシリーズの主題は、「理想に見える生活は裏で秘密を作ることでバランスを取っている」というようなものだが、浮かび上がってくるのは人間関係ないし家庭環境の歪みだ。
主人公のキアラは、両親の期待に応えようと「良い子」であることを続けていたが、気付かずに押し殺していた本音が、ある出来事をきっかけに抑えきれなくなる。もう一人の主人公とも言えるルドは、事実上の片親で、唯一の依存先である母も母で何かと不安定なので本人の精神面もやや不安定で、自傷じみた行為に走りやすい。この二人がひょんなことから親友になっていく過程がもの凄く良い。とても良い。
それに加え、大使の息子でありながら父親のネグレクトでグレてはいるが根はいい奴であるダミアーノ、キアラの親友でやや個人主義的でやや共感性に乏しそうなカミラ（実世界では一番まともに生きてそう）、その兄でクズ男としての素質がビンビンなニコ、校長の息子で神経質かつゲイであるファビオなど、キャラ立った登場人物たちの絡みがとても良い。どの組み合わせでもおいしい。
子世代に限らず、親世代の苦悩もきちんと描かれ、悪として示されていないのが良い。
とにかく、普通に楽しい作品です。
あとアリーチェ・パガーニが可愛い。
