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きのう何食べた?のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

きのう何食べた?(2019年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ゲイの中年カップル、史朗と賢二の日常を、食事と料理を中心に据えて描き出したヒューマン・コメディドラマ。

主人公である几帳面な弁護士、筧史朗を演じるのは『風立ちぬ』『クリーピー 偽りの隣人』の西島秀俊。
史朗たちと同じくゲイである、「風と木の詩」のジルベールのような“美少年”、井上航を演じるのは『恋は雨上がりのように』やTVドラマ『今日から俺は‼︎』の磯村勇斗。

LGBTQを扱った作品は、どうしても大上段に構えたようなシリアスで重い作品になりがち。
しかし、本作はゲイのカップル、しかも40歳を過ぎたおじさん2人というかなり特殊な設定でありながら、肩の力を抜いてほんわかと観ることの出来る、それこそご飯を食べながら観賞するのに最適なコメディドラマとなっている。

とはいえ、本作はただのドタバタギャグ作品ではない。
ゲイであることによる生きづらさや偏見、両親とのギクシャクした関係などが、決して深刻過ぎない軽いタッチで描き出される。
しかし軽めのタッチだからこそ、逆に同性愛者を取り巻く環境について、とてもフラットな感情で考えることが出来る。

本作はとにかく演技の上手い役者さんを起用しているので、凄く安心して観ていられる。
特に、ちょっと女っぽいところのある賢二を演じる内野聖陽さんの演技力は本当にすごい!!
つま先から指の先に至るまで女性っぽい仕草に意識を張り巡らせ、それでいて少しも不自然じゃない。
見た目はおじさんなのに凄く可愛らしいし、もう賢二という人間が実在するとしか思えない。
西島秀俊と内野聖陽の演技合戦を見るだけでも、本作を観賞する価値は大いにあるでしょう。

特別大きな事件が、2人の元に起こるわけではない。
結局ゲイに対する周囲の偏見が無くなるわけでもない。
しかし、史朗と賢二は全12話を通して確実に成長しているし、その姿を見る我々観客の世界の見方も確実に変化するだろう。
この作品は世界に誇れる素晴らしいドラマだと思います♪

…とにかくご飯が美味しそうなので、深夜帯での観賞には注意が必要です!!
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