Larx0517

犯人はこの中にいる/真実を知るもののLarx0517のレビュー・感想・評価

3.1
「我が子を殺した犯人が
自分の家に来たらどうする?」

「この中にいるんだ “One of us”
この中の誰かが殺した」
閉ざされた状況のなか、誰かが犯人 。

「どこか影があるんだ」
浮かび上がってゆく、それぞれの「影」。
捜査する側にも、秘密が。
互いに疑心暗鬼になる人々。
これぞBBCサスペンス。
サスペンスと人間ドラマが濃密に絡まる。

人生で一番幸福な瞬間から一転、
ショッキングなシーンから始まる。

スコットランド、ハイランドの寂寥とした風景が舞台。

まず設定が良い。
シチュエーションサスペンスともいうべき、わずかな状況、わずかな人間のなかで、いくつものストーリーが絡まり合う。
同情できるかは別として、犯人のオチも悪くない。

しかし犯人1人だけをを悪者にしたて、すべてキレイにまとめようとするのは、興醒めしてしまう。
あとジュリエットのエピソードは必要だったのだろうか?
明らかに一線を超えている。
それまでの話の転がし方が良かっただけに、ラストの締めの甘さが悪目立ちする。
後味が悪くなり、全体の印象を下げてしまっている。
残念。


「○○のため」と、ラスト近くにある人が言う。
大切なひとのため、と人はよく言う。
その気持ちに嘘はない。
しかし突き詰めて考えれば、その大切な人のためにしている自分のためなのだ。
大切な苦しんでいるのを見たくないのだ。
今作でも、○○が真実を知ったら喜ぶだろうか?
自己欺瞞にしか見えないのは、自分だけだろうか?

ささやかなトリビア2つ。

①ロブ・エリオット役のジョー・デンプシーは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のジェンドリーを演じている。

②邦題が2つあるが、原題も2つ。
映像にも出てくるオリジナルタイトルは”RETRIBUTION”(「報い」)。
それがone of us”へ変更。
英語版ウィキペディア等で調べたが、変更の経緯は分からず。
BBCで放映時はオリジナルタイトル。
Netflixでの配信時に変更したのか。
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