MACCHO

宮廷の諍い女のMACCHOのネタバレレビュー・内容・結末

宮廷の諍い女(2011年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

最初は甄嬛の健気だが芯の通った立ち振る舞いに引き込まれ感動するが、徐々に異常なほどの気の強さを感じる。後宮に戻る際にはその意志の強さ凛々しさが一段とギアを上げた感じがするのがまた凄い。吹っ切れた感じがあって逆に気持ち良い。
一方で、理由はあれ結局甄嬛も人に対して酷い言動をせざるを得ない終盤を見ていると、この時代の生き辛さを改めて感じる。

両親の元を離れる様は現代で言う新社会人の様相。親が子を、子が親を気遣う様が感動。この親子の絆は後々までずっと一貫して感じられる。一方で、その絆故に国郡王と結婚しながら後宮に戻る、しかもお腹の子供を雍正帝ということにするという暴挙に出ることになるので複雑。

数より忠誠心を重んじて本当の味方にはしっかり報いようとする甄嬛は清々しい。着いていきたいと思わされる立ち振る舞いだと思う。

华妃は皇帝即位の立役者の妹で寵愛を受けているのをいいことにどこまでも嫌味な言動の人物だが、それを演じている蒋欣の配役と演技がはまっているのだと感じる。
华妃に限らず、嫌な人物像の役をそれぞれの女優がちゃんと嫌悪感を抱かせるような演技をしているのが、作品の完成度を高めている。

そもそもだが陛下が好きな女性と夜伽を日々行い、女性も自身が選ばれるよう必死になっている構図が異常の極みに感じられてカルチャーショック。しかも札で選ばれるというのがまた輪をかける。

华妃もさることながら、直接関係のなかった余氏を自害しないために殺すよう命じたり、自分のために動いてくれなかった沈眉莊を悪く言うなど安陵容も劣らず怖い。

性格が悪い登場人物ばかりで見ていて気分が悪くなることも少なくないが、自分がそうならないよう戒めにしようとも思う。

华妃が甄嬛の子供を死なせるシーンは見ていられないぐらい辛いし、甄嬛の涙もまた辛い。子供の尊さや身重の方の大変さを改めて感じさせられる。

华妃を抑え込むラストを予想して見ていたが、中盤で彼女が死ぬのは予想外だった。彼女に限らず多くの人物が死に、最後まで残る人物は少ないが、皇后や安陵容など足を引っ張ってくる相手には事欠かないのがまた強烈。

後宮に戻ってからの甄嬛は堂々としていて比較的安心して見られるようになるが、双子の親が国郡王であることがいつバレるかという大きな不安感がつきまとう。
それと同時に、許されるわけがないから終わり方はバッドエンドしかないと考えざるをえない。
どう終わらせるかと思えば、雍正帝が死に、その死に際に冷酷な態度で接する甄嬛が恐ろしいし、予想し得ないラストだった。

内容の暗さや話の長さから、見るのに多少根気が要るが、その価値は大いにある作品。
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