かりんとう

あなたに出会っていなければのかりんとうのレビュー・感想・評価

あなたに出会っていなければ(2018年製作のドラマ)
3.6
タイムリープものかと思いきや、パラレルワールドもの。
あらすじの解説だけ読むと、多くの視聴者が「ああバタフライ・エフェクトの焼き直しね」と思うかもしれないが、そうではない。
これは劇中でもはっきり明言されている。
「これは過去を変えるタイムマシーンじゃないのよ」と。
しかし【バタフライ~】へのオマージュとリスペクトは随所に表れていたように思う。

主人公が冴えないおっさんの外国語ドラマはネトフリではあまり人気になりにくいようだが、良作は多い。【黒い蝶】とかほんと面白かったしね。

さて本作、途中はちょっとモヤモヤしたり、主人公の学生時代のコスプレ(石立鉄男を彷彿)に突っ込みたくなったりで一瞬脱落しそうになったけれど、意外にも8話以降では何度も泣いてしまった。
まさに「何でもないようなことが幸せだったと思う」ことに気づいた主人公。二度とは戻れないってこともわかっている。だからつらい。
これは家族を持つ身としてはたまらなかった。あの瞬間主人公は「薄情な自分」を闇に葬って、どれだけこのユニバースに留まりたかっただろう。
エベレスト博士については、途中からその正体に気づいてしまったけれど、彼女が背負ってきた積年の後悔や愛情や絶望を思うと、星の数ほどあるユニバースから、あのユニバースを最期の地に選べたことはハッピーエンドだったと信じたい。

1話1時間弱で10話構成なので、気楽には観られないかもしれないが、絶対にオススメ。
今この瞬間を大事に生きようと思わせてくれるドラマだった。