ちぬちぃぬ

マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~のちぬちぃぬのレビュー・感想・評価

4.5
表面的に認識される人格と
内面の本質的な人格を意識させるドラマだったなって思います

そして、韓国の激しい『競争社会』に照準を合わせている作品だと思います

主人公は いくつになっても仲良し三兄弟の次男:パク・ドンフン部長(イ・ソンギュン)
背が高くて脚が長くてスラッとして
物静かで知的なイメージの"おじさん"

ソウルの結構な一流企業に勤めている…のは次男だけで、長男と三男も同じ一流大学を卒業したのに
長男は妻に追い出され、三男は映画監督業がうまくいかず兄弟二人揃って清掃業を友人から受け継ぐ

次男の会社の若きト社長は大学の"後輩"で、学生時代の先輩後輩の地位が逆転状態でお互いギクシャクした関係。。。

と、ここまではまだ全然平和なのね

ト社長はパク部長(次男)の妻と不倫してるし
パク部長をクビにしたいと考えていて
いろいろ金の力でクズな悪事をするんだけど
そのためにパク部長の部署で働く派遣社員のイ・ジアン(IU)をスパイのように使い始める…
ジアンには祖母がいて、聴覚障害があるし自力で歩く事が出来ない老人なので介護をしている上に、彼女(ジアン)が子供の時に亡くなった親の借金まで返済していたりで、21歳の女性には厳しい生活
最終学歴は中学、社会常識を教わっていないために【福祉】の恩恵を受けられることも知らず子供の頃から酷い生活を強いられていました
(誰かちゃんと導いてあげて欲しかったです!)

ただ、結果的にはジアンはサバイバーなので逆に能力が高い部分も多くてハッキリ言って仕事は出来る子です✨
さて、そんなジアンがパク部長のスパイとして
トの言う通りに演技をしたり、パク部長のスマホに盗聴アプリを仕込んだりして
部長はジアンに密着されるようになるんですよね

ところで、ト社長は『愛の不時着』で"耳野郎"役だったキム・ヨンミン氏で
今作では「盗聴を続けて監視しろ」ってジアンに言ってるから笑う

社長と部長、二人の【裏の顔】がどんどんジアン(と視聴者)に露わになっていく

⚪︎ト社長→これ以上ないクズ(ジアン談)
⚪︎パク部長→優しくていい人(ジアン談)

それに、ジアンって結構長時間イヤホンつけて部長の声を聴いてるんだけど
パク部長役のイ・ソンギュンさんがホントにイケボだから〜余計に胸に刺さったところもあるんじゃないかなぁと私は思う
部長に対する好感度が上がりいつの間にか【二重スパイ】のようになり…

それにしても毎日毎日騒がしい三兄弟で、一緒にやってるサッカーチームのメンバーもいちいちすぐに集まるし
酒盛りが激しいなぁ〜毎晩ぐらい大騒ぎだよ
車運転して来てるのに「呑んで行けよー」はやめてほしい
韓国の人達が自分らで言ってたけど、ホントに賑やかで声がデカいし よく喋るってw
「家族」「幼馴染」「仕事仲間」。。。と狭いコミュニティが凄く濃ゆい!ほっといて貰えない
ここの点も重要ポイントかな


『ずっと本当の自分を知ってくれてる人がいる』ことの安心と重さ

『誰も昔の事なんか知らない新しい人脈』の気持ちよさ軽さ

これジアンさんにはどっちも大事だったかも

それと、パク部長の妻ユニさんが
どれだけ疎外感を感じていたことか
旦那の実家ばかり近しいじゃん…
だからってクズと不倫しちゃうのは大失敗だったねー(せっかく弁護士なのに)
彼女も孤独だったでしょう


最初の方で書いた、『競争社会』についてですが
日本人から見たら驚いてしまうぐらいに学歴とか大企業勤務かとか、教育費も子供一人につき(日本円で言うと)100万円/1ヶ月なんてザラ
パク部長の息子もアメリカに留学させてる。
三兄弟が三人とも大企業に就職出来ないで、一人出来ればいいところ。
「いい所で働いてるんだ〜いいないいな〜、羨ましいな〜」つって我も我もとみんな高学歴目指しちゃう
そして日本の“東京”と同じく
みんな“ソウル”で働きたい!って一点集中しちゃうんだよねぇ
一点集中すると、【格差】と【少子化】が激しくなるんです



とにかく脚本がとても良かったと思います
そしてIU氏の演技力よ!✨✨✨

あと…このドラマの内容だと
“人生に疲れたおじさん”が 惨めな様子を描いているので、イ・ソンギュン氏がリアルでも昨年12月に追い詰められて亡くなってしまった事と少し重なって見えて悲しかったです

このドラマ撮影時には誰も思いもしなかったでしょうけど