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見せかけの日々のGreenTのレビュー・感想・評価

見せかけの日々(2019年製作のドラマ)
3.5
これはハマった!

メルとレイシーのシングルマザー親子の向かいに、ディーディーとジプシー・ローズというこれまたシングルマザーの親子が引っ越してくる。ジプシー・ローズは、早産によって受けた脳損傷のために7歳児の知的能力しかない上、白血病、喘息 、筋ジストロフィーなどの慢性疾患を抱え、車椅子生活をしてる15歳の女の子。

メルはズバズバものを言うし、ビールは飲むはタバコは吸うわ、ってタイプなので、引っ越してきたばかりのご近所さんでも容赦ない(笑)。しかし、ディーディーが外見も気にせず娘の世話に明け暮れているのを見てほだされ、シングルマザー同士の絆ができる。

ディーディーとジプシーの家は、ジプシーが障害者だからとボランティア団体が作ってあげたもので、車椅子用のスロープが付いていて、外壁がピンク!

これ実話に基づいているんだけど、実際にこの家ピンクなんだよ!!このピンクの家の内情は実は・・・・。

このお母さんはいわゆる代理ミュンヒハウゼン症候群ってヤツで、ジプシーは歩けるし至極健康なのだが、食べ物は撹拌してお腹に繋げたチューブでしか上げない(うえ〜)。砂糖アレルギーと言って甘いものも食べさせないけど、自分は糖尿病になるくらい食ってる!!

この親子の秘密、ディーディーがジプシーにしていることが明かされていくのが、かなりエグくてゾッとするんだけど、中盤ジプシーの歯が全部失くなっちゃうところでマジ「ひえ〜!!」だった。ジプシーの方が若くて強そうだから逆らえば逆らえるだろうし、人前で立ち上がればお母さんの虚偽がバレるのに!一般の人から手紙で来る寄付金が、現金で4000ドルもあって、それの隠し場所だって知ってるんだから、逃げようと思えば逃げられる!とか思いつつ観ているのでハマる!

でもまああれだよな〜。ずーっとそうやって信じこまされて来たらなあ〜。あとやっぱこういう子って、お母さんの手から救われたとしても、その後どーなるんだろ?って思ったらなあ。すでに共依存になってるようだし。

そういう気持ちのアヤも描いているし、ディーディーの過去や、のちのち登場するジプシーのボーイフレンドの背景や、また実話の事件の流れなど、なかなか良くできた作品。

で、配役ですよ!ディーディーがパトリシア・アークエット、ご近所さんメルを演じるのがクロエ・セヴィニー、ジプシーのボーイフレンドの母親がジュリエット・ルイスと、既成の女性キャラに囚われない、ハリウッドに媚を売らない女優さんたち!

印象的だったのは、「ジプシーは本当は健康なんじゃ?」と疑い始めたお医者さんを演じたプールナ・ジャガナサン。女性で、しかもインド系のお医者さんって、最近本当に多い。考えてみたら私のファミリー・ドクターもインド系か中東系の女性だもん。

こういう配役は「真のポリコレ」だと思った。「本当のアメリカの日常は、全員白人じゃないんですよ〜」と言う。

なんだけど、実話ではこのお医者さんは男だったってのが笑った。つまり昔の「いい役は全て白人男性」って「男ウォッシュ」「ホワイトウォッシュ」するのと逆を行っているという。

最近、今までの復讐かのように男優を脱がせたり、今まで女優が差別されていたからって男優を差別するってのはどーなの、「平等に」なるのが目的なんじゃないの?って思ったけど、このインド系の女医ってのは逆に真実味があって良かったなあ。

若い娘たちも良くて、ジプシーを演じるジョーイ・キングは、どっかで観たことあると思ったら、FXシリーズ『ファーゴ』でコリン・ハンクスの娘を演じた子!『死霊館』にも出てるらしいけど記憶にない。今度『ブレット・トレイン』にも出るらしいし、今上がり調子みたいですね。

メルの娘レイシーを演じるアナソフィア・ロブも好演だった。お母さん役のクロエ・セヴィニーと、似てないんだけどケミストリーがあり、親子って感じがする。キツイこと言い合ってばかりいるのに、仲いいんだろうなあって。この娘はダーティ・ブロンドなのかな?親子でブロンドなんて、最近は「けっ!」って思っちゃうハズなのに、この2人は似ていて微笑ましい。

でまた、起こる事件がすごい。内容もさることながら、脚本家が上手いなあと思った。実話の方も、すっごい大ニュースになったから、ユーチューブ行けば当時のニュース映像やインタビューも観られる。それで家がマジでピンクだったって知ったんだけど、玄関にある酸素ボンベとかすっごい細かいところまで再現していて、セットも頑張ってるなって思った。

これフィルマでパケ写もないし、日本でやってないの?アマプラで配信されてるってどっかに書いてあった気がするが。面白いのになあ〜。
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