Morohashi

火花のMorohashiのレビュー・感想・評価

火花(2016年製作のドラマ)
4.5
又吉直樹さんの小説「火花」が原作のNetflixオリジナルドラマ。
原作は未読だけれど、どうやらかなり忠実にできているらしい。

10話全体を通してエピソードのバランスがとてもよく配置されている。
いいこと・悪いことが交互に起きながら、だんだん芸人として大成していき、その後収束していくという大きな流れができあがっている。
小説らしく、徳永(林遣都)のモノローグが多くを占める構成。

その徳永が憧れているのは、あほんだらというコンビの神谷。
とことん自分のやりたいことだけをやる神谷と、本当はそうしたいけれど世間に受ける漫才を作ろうともがく徳永。
なぜ徳永がこれほどまでに神谷に執着しようとしたのかは、わかるようなわからないようなだけれど、きっと神谷が銀髪にしたときに徳永が激怒したのは、憧れの存在だった、誰にも媚びないはずの人が突然そのスタンスを変えてしまったからなんだろう。

劇中で神谷が吐露する「お笑いに完成度は関係ない」っていうセリフ。理不尽な話だけれど、実際そうなんだと思う。結局は、実力とは別の次元で起こる運命のいたずらを掴み取るチャンスに、きちんと反応できるかどうかが問題なんだと思う。

ところでこのドラマ、9話と10話の迫力が凄まじい。
コンビ解散を表明したときに知る社長の思い。
線路沿いをトボトボと歩きながら、お互いの顔を見ずに始めるインコの漫才。
こういう1つ1つのエピソードに、本人たちが何を思っているかは語られなくとも気持ちが見える、とても丁寧に作られたドラマだと思った。

ところでこれ、結構ゲリラ撮影してません…?
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