紅孔雀

アガサ・クリスティー 検察側の証人の紅孔雀のレビュー・感想・評価

2.9
BBCのクリスティー連続ドラマ、3作目の視聴(但し放送は本編が最初です)。脚本家が同じサラ・フェルペスという女性で、評価が高かったのか、既にレビューした『ABC殺人事件』『無実はさいなむ』も手がけています。この2作、私にはともに面白かったのですが、ちょっと気になったのは原作にない趣向を無理に入れるところ。『ABC』ではポワロのベルギー時代のエピソード、『無実』では原爆製造のトラウマ(!)でした。特に“原爆”は唐突で、あまり必然性を感じませんでした。その欠点が本編ではさらに剥き出しになっていて、トビー・ジョーンズ演ずる弁護士を襲う悲劇は、原作の切れ味を鈍らせる不協和音だと思いました。
下手に才能があると、つい自らのアイディアを付け加えたくなるんでしょうなぁ。脚色というものの難しさを感じさせるシリーズでした。
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