beachboss114

Tinker Tailor Soldier Spy drama(原題)のbeachboss114のレビュー・感想・評価

5.0
同じ原作の映画版が『裏切りのサーカス』(珍邦題の殿堂入り)。

映画版は映画版で良かったんだけど、やはりこの原作は地道な捜査や地味な駆け引きの積み重ねが魅力だけに、連ドラの方が向いている。身も蓋もない言い方をすれば、帳簿めくって金の出し入れから犯人絞り込むってだけの話だからね。

主要キャストは断然、重鎮そろえたドラマ版の方が重厚感があって、リアリティと説得力も段違い。事務方エリート公務員スパイの忸怩たる思いや染み着いたプロ意識、宮仕え特有の仲間意識や徒労感にしみじみと共感。

スマイリーは我らがオビ=ワンことアレック・ギネス、ビル・ヘイドンはイギリスの西村晃ことイアン・リチャードソン。前者は老いて引退した窓際スパイの悲哀を体現、後者はジジイの色気が炸裂(60過ぎてから親子ほど歳の離れた嫁さん貰うタイプ)。

言っちゃ悪いが、映画版のスマイリーはカッコ良すぎたし、ビル・ヘイドンは見た目が若すぎた。風采の上がらない爺さんが、時折かつての冴えていた頃の片鱗を感じさせながら、同じ釜の飯を食ってきた一筋縄ではいかない同僚スパイたちを相手に静かにバチバチと火花散らす、ってのが魅力なんだから。

ちなみに、日本語版は出ていないので、海外版をAmazonで取り寄せて、英語字幕を出してところどころ止めながら鑑賞。結構ヘトヘト。

※原作は三部作。ドラマ版は第二部をすっ飛ばして第三部(スマイリーと仲間たち)が映像化されているので、宿敵カーラとの決着がついてスッキリされたい方はぜひ。ちなみに、カーラを演じるのは我らがピカード船長。当時からヘアスタイルもピカード。
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