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ハンドメイズ・テイル/侍女の物語 シーズン4のhiのレビュー・感想・評価

4.3
シーズン4にして、まだ出るまだ出るギレアドの最悪なとこ。
もういい加減にしてほしい。
拷問部屋に殺人に種付け農場て。勘弁して。
苦汁も辛酸も舐めてきたジューン、今シーズンでも彼女がいるところに大きな波ができる。

個人的には4話のジャニーンの過去がキツかった。中絶しに行った先のクリニックで説教されて、結局中絶させてもらえないシーンがすごくキツい。
将来不妊やその他病気になるリスクがあることは承知の上なのに、掻把法がいかに恐ろしいかを、まるで搔爬法しかやり方がないように話す(その後に言った別のクリニックではあっさり薬を処方されて終わる。「……それだけ?」「もう十分悩んだでしょ」)。
何の事情も知らないくせに「あなたは良いお母さんになれるからぜったい産んで」なんて、無責任に言えるんだろう。
あとは助けられた先でも、見返りとして性的な奉仕を強要されるところ。怒りしか湧かない。

やっと、モイラとルークと再会し、ギレアドを脱したジューン。長かった。ここまでとても長かった。
なのにジューンはハンナを置いてきたことで自分を強く責める。こんなん泣いてしまう。
モイラ、エミリー、リタ、……ギレアドから脱した女性たちのトラウマが辛い。カナダで暮らして、「こんな幸せに暮らしていいの?」と罪悪感と困惑を抱きながら、フラッシュバックに苦しむ。
しかしジューンが妊娠したセリーナに浴びせた怒りと憎しみの罵声は、私としても非常にショッキングだった。ジューンはもちろん、ギレアドに殺されていった女性たち、傷つけられてきた子どもたちのことを考えればセリーナを憎む気持ちもすごくわかる。残酷行為に加担したセリーナもギレアドの犠牲者だと思うと、ものすごく胸が痛いシーンだった。
また、ギレアドからカナダに逃れたもう1人の女性の行く末も描かれる。
エミリーを痛めつけた“おば”は、「毎日罪の意識に苛まれて苦しい、だから許して」とエミリーに乞う。当然ながら、被害者は加害者を決して許さない。
ジューンは一緒にギレアドに対して怒り狂う存在が欲しかったんだ……

8話の陳述シーンはセリーナやフレッド、ルークなどオーディエンスの反応は一切映さず、淡々と証言するジューンの姿だけ。彼女や他の女性たちの受けた仕打ちは見てきたけど、言葉にするとより衝撃的な内容だ。

セリーナも今後ギレアドに戻ったら、息子を取り上げられて侍女にされてしまうだろうと言っていたけれど、9話のエスターへの仕打ちでその説が濃厚になってきた。セリーナももうギレアドのこときっぱり諦めようよ、フレッドなんか放っておいてさ。
ギレアドのニックとカナダのジューンの再会は本作では貴重な心温まるシーン。ニックを前にしてさっぱりした顔つきになるジューン……もちろんジューンはルークを愛してるけど、ギレアドでサバイブする中での安らぎの多くはニックから与えられたから……そしてまさにギレアドで、司令官の立場でありながら、逃げ出した元侍女ジューンのために命懸けでハンナを救い出そうとしてくれるニック。勇敢で愛情深いニックに大きな気持ちを寄せてしまうのも理解できる。ニックも幸せになれ……。

「本当にあの男を忘れたい」と涙ながらエミリーに告白するジューン。そりゃそうだよ、嫌いで仕方ない相手を憎み続けるのは時間の浪費かつものすごい負担だものね。でも忘れられない、それほど恐ろしい目に遭わされたから。
ラストのジューンたちの行為はショッキングだし、彼女たちの今後の人生に関わる重大な決断だ。
でも、被害者の口を塞ぐような展開じゃなくて良かったと思う気持ちが強い。
「復讐は何も生まない」なんて説教で黙らせてはいけない。そして実は「復讐は気持ちいい」のだ………

シーズン5、一刻も早く日本でも配信してくれますように。
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