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仮面ライダーV3のなおのレビュー・感想・評価

仮面ライダーV3(1973年製作のドラマ)
4.0
"ライダー3号は君だ"

前作『仮面ライダー』の直接的な続編としての位置づけでスタートした、昭和ライダー第2作目。

本郷猛(1号)と一文字隼人(2号)の活躍によって、ショッカーとその強化形態とも言うべき悪の組織・ゲルショッカーは壊滅。
しかし日本の平和を脅かそうと、またしても新たな巨悪・デストロンが誕生した。

主人公は風見志郎。
本郷の大学の後輩でもある彼は、デストロンの凶行を目撃したことから命を狙われるようになり、果てには愛する両親と妹を目の前で殺害されてしまう。
1号、2号に続き、大切なものを失いただ一人戦い続ける宿命を背負った悲しきヒーロー・仮面ライダーV3の活躍を描いたドラマ。

✏️ブイスリャアアアアアッ!!!
よくネタにされる変身時のかけ声、言うほどブイスリャアアアアアッ!!!とは聞こえなかったな…

という冗談はさておき、全仮面ライダーの原点である前作より話数こそ少ないが、全体的にストーリーの厚みが格段にアップ。
主人公である志郎とデストロンの戦いっぷりはもちろん、それをサポートする面々が個性的で毎話飽きない。

小野ひずるさんが演じた珠純子の献身的な姿や、恐らく当時の少年たちが熱烈に憧れたであろう少年ライダー隊の存在。
そして前作から続投の、立花藤兵衛ことおやっさん。
デストロンとの戦いに苦戦する志郎の助っ人として、なんと本郷と一文字までもがゲスト出演。

物語後半では、これまた一筋縄ではいかぬ出自を持つデストロンの科学者・結城丈二(=ライダーマン)も志郎の戦いに加わるなど、当時の子どもたちの心をガッチリつかむ展開が目白押し。

前作の世界観を受け継ぎつつ、当時隆盛を極めた特撮ブームの勢いを、本作がさらに加速させたことは間違いない。

✏️デストロン
今回新たな敵組織として志郎の前に立ちはだかる、デストロンの名悪役っぷりも光る。
前作では「蜂女」「蜘蛛男」など、単に動物や植物をモチーフとしたシンプルな姿の怪人が多かったが、本作では「生物」+「機械」という組み合わせが元となった、見た目的にも能力的にも「ひとひねりのある」怪人が多数登場するのが楽しい。

基本的に「1話につき怪人1体」であった前作と比較して、「1話に怪人が2体登場する」だったり「1体倒してもまたすぐ次の怪人が登場し、次回に繋がる」といった展開が多く、見ていて思わずハラハラ。

その1体1体も基本的にV3を圧倒する能力を持つ者が多く、劇中において志郎がピンチに追い込まれる姿も少なくない。

いわゆる「幹部級」怪人がコロコロと入れ替わるのもまた楽しい。
「仮面ラァ~イダV3…」というファンにはおなじみのイントネーションでV3を呼ぶドクトルGはやはり印象的だった。
割とすぐリストラされるキバ男爵とツバサ大僧正、そしてデストロン最後の幹部であるヨロイ元帥。
ヨロイ元帥は自らの保身のために結城丈二を陥れようとするなど、怪人ながら人間臭い一面も。

やはり特撮ヒーローには「名悪役」の存在が必要不可欠である。

☑️まとめ
厚みを増したストーリー展開に、デストロンという魅力的な悪役の存在。
1号・2号のゲスト出演や、ライダーマンという新たなヒーローの登場、そして当時の少年たちからすれば、まるで自分たちがその一員であると錯覚しそうな少年ライダー隊の奮闘っぷり。

現在の令和ライダーにもつながる…というと少し大げさかもしれないが、やはり未だに人気が高い理由も頷ける納得のクオリティ。

ちなみにこの『仮面ライダーV3』が持つ最高視聴率「38%」という数字は、放送から約50年が経過した今も破られていない。

【データ】
放送局:TOKYO MX
放送期間:2021年10月1日~2022年10月14日
放送日時:毎週金曜日 18:00~18:30
なお

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