オジサン

仮面ライダーXのオジサンのレビュー・感想・評価

仮面ライダーX(1974年製作のドラマ)
5.0
光る回るの変身ベルトにはじめて他のギミックが取り付けられたのがこの仮面ライダーXという作品なのですが、仮面ライダーシリーズで初の主力装備となる手持ち専用武器を携帯した仮面ライダーでもあります。

1号の頃よりショッカーの戦闘員から武器を奪って戦ってたとか、ライダーマンのカセットアームだとかの屁理屈を除けば、ホイップ、スティック、ロープ、ロングポールの四形態に変型する万能武器のライドルをベルトに装備して、仮面ライダーXは本来は深海開発用の改造人間カイゾーグ(※作中造語)だとか、プロペラがなんと背面ならともかく前面に向けて取り付けられた水陸両用のクルーザーだとかに乗って、本来は敵対する大国同士が日本を壊滅させるために組織したGOD機関と戦います。

昭和の仮面ライダーシリーズは特に第1話とかで過去作品とは違う何かを推し出してくる印象が個人的にはあるのですが、放映時期はあの007だとかのスパイものやマジンガーZだののスーパーロボットアニメだとかブルース・リーの燃えよドラゴンがブームだった時代で、仮面ライダーXもそういった流行り物要素はいち早く取り入れています。
その素早さといったら正に風の如く素早く、昨今の仮面ライダーもそういうところは見習えれるのなら見習った方が良いのかもしれません。

とりあえず、仮面ライダーXは初期はスパイものの雰囲気を押し出した作品でした。
恋人はGOD機関の手先で、父親は殺害され、恋人と瓜二つの恋人の双子の妹が現れ、父親を亡くしたシンパシーを感じてしまう助けた少年からは人間ではなくロボット扱いされ、恋人の双子の妹も殺害されその恋人だった女性もだとか、とにかく仮面ライダーと仮面ライダーV3を経て対象年齢を引き上げたような暗いシリアスな展開はそこそこにその路線は打ち切られます。

そして登場するのがシリーズで本格的な主人公を認め、世界征服のための弊害というよりも越えねばならぬ好敵手として対等に渡り合うライバルキャラクターのアポロガイストです。

このアポロガイストも仮面ライダーXと戦う際なんかで香典だとか称して立花藤兵衛に大金をポンと放り渡したりして、敵であっても良い印象を残しておきたいとか言い残したりしてニヒルな感じなのです。
そして、仮面ライダーXの神敬介は神敬介でアポロガイストとの関わりで中々人を信用できなくなったとアポロガイスト本人に豪語して企みを看破して、とにかくお互い意識しまくりなのです。

そして後半はキングダークという巨大ロボットやRS装置の設計図を巡るシリーズで初の縦軸の仮面ライダーXとGOD機関の戦いが描かれるのですが、特に昭和仮面ライダーでその時の流行り物を取り入れまくった上で実験的な専用武器の導入だとか、とにかく意欲的な作品な印象です。

私は仮面ライダーXはテーマがどうとか、キャラクターの信念がなんだとか、そういうところで評価しているのではなく仮面ライダー像というのが確立されきった前作仮面ライダーV3で、では次にどうするか?それを模索したシリーズの縁の下の力持ちのような作品だと思っています。

実際に専用武器でベルトのギミックだとか、縦軸の物語を進行する要素だとかは現在のシリーズでも存在しますし、仮面ライダーXは一番人気作のV3と一番異色作のアマゾンに挟まれて地味な上に話数が少ないためあらぬ誤解を招くような作品でもありますが、仮面ライダーXの神敬介は他の昭和の仮面ライダーに漏れなく完璧超人ではあるのですが、一言で表現するならば人間模様に悩む平成以降の悩める等身大のヒーロー像も併せ持つ稀有な昭和ライダーでもあると思います。

ただ、私は個人の好みで何となく見るのであれば前々作や前作の仮面ライダーや仮面ライダーV3の方を選んでしまう原理主義者でもありますが、上記のシリーズへの貢献度というものを加味すると星は5つですね。
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