シロー

恋のステップ~キミと見つめた青い海~のシローのレビュー・感想・評価

4.6
タイトルやパッケージの明るさと比べて内容が重いんよなぁ……人生思い通りには行かなくて、恋も夢も、全て自分を中心に回ってるわけではなくて、色んな人の渦の中で小さく生きているって感じ。それはダンスのステップと似ているような気もする。相手と向き合って呼吸を合わせること、脚の運びやタイミングなど、それらがうまくマッチして形が良いものになる。イ先生は悩み多き彼女たちにとってその調子を整えてくれるメンター的存在だろう。自分を犠牲にしても生徒たちに「学校に絶望させたくない」という想いで親身に寄り添ってくれる存在ってこの年代の子にとってはあまりにも大きいと思う。おそらく親よりもずっと。

まず撮りかたが斬新というか癖が強い。たった1秒しかないシーンにかけられた手間がすごい。少なくとも「カメラマンの存在」を感じさせてしまうような雑さはなかった。ドラマというか映画に近い表現。色味の凝った照明やフレームに入る光の加減……まさにシウンが言ったような幻想的な世界づくり。陰影の濃さは人物の心情を視覚的にも訴えてくるし、爽快なシーンはキラキラしていて美しい。青春という言葉が一番当てはまるけど、そういう楽しいことや苦しいことを凝縮されている作品だった。

ただ最後のスンチャンあたりはもうすこし時間欲しかったなぁ。40分×12話は流石に短いのかかなり大胆なカットも目立ったし(それはそれで成功していると思うけど)、シウンの感情が忙しいなーって思った。でも時間的な制約のなか、セリフ以上に情報が詰め込まれてまとめられているとは思う。個人的にはヘジンの終わりかたは重いけど好き。

当たり障りのないドラマよりもこういう観る人を揺さぶる(時には傷つけるような)作品が好きだけど、この作品もまたフィクションであり、幻想でありながら、リアルな世界であるのがとても刺さる部分。シウンの独白のセリフはだいたい心にすっと入ってくるのが多いね。また見返したいぐらいに。

他の方も言ってるけど、邦題がミスマッチすぎるので普通に原題の「テンポガールズ」で良いと思う。
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