オジサン

仮面ライダーアマゾンのオジサンのレビュー・感想・評価

仮面ライダーアマゾン(1974年製作のドラマ)
5.0
ちょっとミーハーっぽく思われてしまうかもしれませんが、昭和仮面ライダーを誰かにお薦めする時に私は結構上位にこの仮面ライダーアマゾンが位置していたりします。

仮面ライダーは話数が長すぎて、V3とXは仮面ライダーと地続きで試聴した方がいろいろとグッと来るわけです。
ストロンガーはアマゾンを含めたそれまでの仮面ライダーを知っていると終盤がもう感動鳥肌ものです。
スカイライダーは歴代ライダーの客演も多くシリーズの仕切り直しでもあり、スーパー1も単独作品みたいな雰囲気の作品なのですが約一年間くらいどちらも放映されているので話数は全50話前後。

そこを行くと仮面ライダーアマゾンは立花藤兵衛というシリーズレギュラーキャラクターが登場しますが、それまでの過去作品とは繋がりを絶ったような作風で仮面ライダーシリーズでも二番目に話数が少ない全30話前後でしたかねたしか。

とにかくアマゾンは異色作としても有名だと思いますが、よく言われるような主人公が上半身裸だとか日本語を最初喋れないとか、敵が怪獣染みたフォルムの獣人だとか、野性味溢れ血飛沫が舞い散るアクションだとかより以前に、子供の頃から大人になった今でも感じるのはこの作品の怪奇性です。

第1話の時点で悪の組織ゲドンが日本の東京でその存在を証明する証拠を残さず人知れず暗躍しているのですが、どう表現したらいいのかとにかく無気味なんですよ。
そして、画面もとにかく暗い。
仮面ライダー第1クールほどではないにしろ、何か不安を煽るような暗さです。

そして何よりもおそらく仮面ライダーアマゾンの怪奇性の一役買っている要素に、私はこの作品の序盤の連続性を感じさせる本気のドラマ作りがあるのではないかと思っています。

第1話のオープニングは当時の子供番組としては珍しいアバンタイトルからシームレスに主題歌が流れて、延々とアマゾンがゲドンから逃走している様子が映し出されるわけです。
従来のオープニングが始まるのは第2話からとなります。

とにかくアマゾンは文明社会が苦手でそれこそ最初はオートバイすら嫌っています仮面ライダーなのに。
そしてその苦手がいつしか忌むべき嫌いなものとして話数を重ねて描写されるわけですね。
おまけにこの作品のヒロインからすらも最初は嫌われていますアマゾンは。

子供の頃はアマゾンがただただ可哀想なのですが、大人になった今、大人の視点で見てみるとアマゾンはたしかに可哀想なのですが仕方ないよなそりゃってなってもしまうのです。

なにせアマゾンは上半身裸で日本語すら喋れないから意思の疎通もできない、そんな奴が当時の現代社会の東京にポッと現れて、しかもそのアマゾンの行く先々でゲドンが襲撃してくるわけです。
そのゲドンにしてもアマゾンの持つギギの腕輪というものを狙っていて、アマゾン個人を執拗に狙い続けるという設定で連続性というのに一役買っています。

そこをヒロインの弟である岡村まさひこ少年や立花藤兵衛との触れ合いなんかを通して、アマゾンはゲドンと戦い続けるわけなのですが、本当に仮面ライダーアマゾンという作品の序盤は鬱々としてアマゾン可哀想という作品なのです。

昭和の仮面ライダーは私の私見になりますが、特に序盤は今までにない良いものを作るぞ!やるぞ!という気概というか強い意思というかが見えてくるシリーズのような気がします。

でも時代なのか、やっぱり子供番組だから自重しようみたいになっていつもの勧善懲悪の悪の組織の計画を叩きのめすぞという活劇に路線変更するというか、でもこれも当然仮面ライダーの作風なわけです。

この仮面ライダーアマゾンもその御多分に漏れず、敵はゲドンからガランダー帝国という悪の組織に変わり、そのガランダーの世界征服というか日本征服計画だかを阻止する仮面ライダーアマゾンという判りやすい構図になります。
でも、老害目線からだからかその路線も面白くて、序盤のパンチの効いた作風からのギャップというのもあるかもしれません。

仮面ライダーアマゾンは、それまでに仮面ライダーが存在していて子供たちにはそれなりに認知されている世界だという程度の知識だけで見ても何の問題もありません。

実際に初見の人からしたら怪人然とした容貌に見えるアマゾンを岡村まさひこ少年は見た瞬間から仮面ライダーみたいだと漏らし、仮面ライダーの称号を最初にアマゾンに与えるというと大袈裟ですが、それも岡村まさひこ少年なのです。

昭和の時代の子供番組の製作陣の本気が垣間見えるシリーズでも一、二を争う異色作ですが私の評価は星5つです。
ただ、お子さんと試聴する際は序盤は注意しましょう。
とにかくアマゾンに救いというものが可哀想なくらい少ないです。
でもそこが魅力なのです。
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