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ファルコン&ウィンター・ソルジャーのYOUのレビュー・感想・評価

4.7
『アベンジャーズ/エンドゲーム』から半年後の世界を描いた、MCUフェイズ4の第2作目。
フェイズ4の幕開けとしていきなり意表を突かれた『ワンダヴィジョン』は作品形式や中盤のサプライズなど全てが独創的かつ刺激的な一作でしたが、今回はMCUのドラマシリーズという形にも慣れてきた上に、前回のようなギミックやサプライズを期待するような作品でもないという事で、個人的には『ワンダヴィジョン』程の期待感はありませんでした。ただそんな事前の懸念を全て吹き飛ばすような第1話冒頭のド迫力ドッグファイトでいきなりやられました。この場面だけでも過去の映画シリーズにおけるファルコンの全アクションシーンを余裕で凌駕していますし、全話通じてアクションシークエンスは映画さながらのクオリティです。加えて新キャラクターとの関係性も興味深いです。特に問題児ジョン・ウォンカーは非常に人間味があり共感出来るようなキャラクターに仕上げられています。子供っぽくてダメな奴だけど応援したくなるような可愛げもありますし、彼の今後の活躍にも期待!また今作では現代の社会や不穏な情勢が物語に色濃く反映されており、それを最も象徴しているのが最終話でのサムの演説シーンです。現代における人種差別や難民問題、そして国や政府が権力をどう行使するかを改めて我々に問い直す彼の姿はまさしく”キャプテン・アメリカ”そのものですし、”超人的能力を持たない黒人男性ヒーロー”が社会的弱者に対し共感と理解を示すこの場面は『ワンダヴィジョン』の直後だからこそ更に説得力が増していると思います。

かつて『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』という全く正反対の、しかしどちらもMCUには絶対に欠かせない大傑作が同じ2014年に公開された事をふと連想しました。フェイズ4開幕からまだ2作品なのにこの盛り上がり、このバリエーション、そしてこの満足度、やはり半端ないですね。また『エンドゲーム』での盾にまつわるあのラストは、今作の物語なくしてはどうしても締めくくれなかったというこの意欲的な姿勢にこそ、自分はMCU本来の凄さ、高いクリエイティビティを感じました。我々自身が今一度意識し直すべき鋭い問題提起が為された今作は、MCUにおいても現代エンターテイメント作品としても超重要な一作になると思います!








































































































































生まれ変わって無邪気に喜ぶジョン・ウォーカー、これはまた何かやらかしてくれそう。いいぞ!
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