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項羽と劉邦 King's Warのtanziのレビュー・感想・評価

項羽と劉邦 King's War(2012年製作のドラマ)
4.7
実はかなり時間を置いて2周目を見た。最初は日本語吹き替えだったけど2度目は中国語で。歴史への解像度が上がったことも相まったのかな2回目の方がケタ違いに良かった。

項羽のピーター・ホーすごいよ。軍神でありながら欠点の多い将軍なんだけどラスト3話くらいは泣けて仕方なかった。最近流行りの“美形“俳優とはまた違うその面構えと身体の線の太さがとても良い。この先も項羽と聞けばきっと彼の事を思い出すに違いない。マスターピース。

劉邦もチェン・ダオミン本人の声で演技を見るとすんなり腑に落ちた。
そして改めて沛県の亭長に過ぎなかった庶民の男が天下統一を果たしたという事実に驚く。

その主役達だけでなく楚軍漢軍ともに脇を固める俳優のキャスティングがしっかりしており各々の見せ場が丁寧。
前半は始皇帝の末期と秦を滅ぼした宦官趙高と二世皇帝胡亥や秦の将軍章邯などが中心。

後半特に秦→楚の武将で離間計にしてやられた司馬欣の最期と劉邦の身代わりを務めた紀信が印象に残るし、韓信という国士無双大将軍の「変わり者」感もしっかり前面に出てました。

最後は駆け足だったけど漢忠臣の粛清は見るのに忍びないのでやむなしかな。
ラストまで一気に駆け抜けました。評価を『傑作』に変更して点数もガッツリ上げたいと思う。

以下は、初見での感想↓


全80話観了 垓下の戦いはやはり盛り上がる〜
前半は始皇帝晩年から始まり、かなり尺をとって趙高の暴政を描き、洋の東西問わず時代を超えて腐敗政治のやるこた〜同じやんけ!と見事に暗澹たる気持ちにさせてくれました。

んで趙高が殺され速攻秦滅亡、そして本格的に楚漢の戦いに移行。さすが乱世、誰にも感情移入できない。

そんななか垓下の戦いオーラス、覇王別姫のピーター・ホー演じる項羽は非常にエモかった。脳筋の役が多いけど実は演技派だったのね、さすが『月に咲く花の如く』の呉聘。

という具合に、項羽が見事なまでの分かりやすい"英雄"なものだから、どうしても絵ヅラ的に地味になる劉邦の魅力を表現しきれなかったのが、今作一番の弱点か。

演じたチェン・ダオミンは好きな俳優だし映画『HERO』の嬴政は色気もあって納得のハマり役だった。
けど劉邦はちょっとミスキャストだったかも…。
品が良すぎて理知的さを隠しきれずに"人誑し"な部分が薄かった気がして仕方ないんだよね。

正直、劉邦を『三国志Three Kingdoms』の曹操を演じた陳建斌だったら、と途中何度か思ってしまったのことよ。

あとこのドラマの呂雉が何故歴史に書き残されたあの呂雉になったのか少々分からない。
過酷な人質生活の中で絶対にその芽生えがあったはずだけど、この手のドラマにありがちで女のことはぞんざいだな、と。
実は人質から解放されるときの曹氏と呂雉の別れのシーンが一番グッときたんですよね。

そのうち稀代の悪女、新釈呂雉を大陸のドラマで誰か製作してほしい。
『鬼谷子』もビックリなドラマになるかもしれません。
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