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北の国から '98時代のshunのレビュー・感想・評価

北の国から '98時代(1998年製作のドラマ)
5.0
「北の国から'98時代」を観終わったわけで

どんなに足掻いてもやがては過ぎ行く"時代"に焦点を当てた今作

相変わらずシュウが好き



以下ネタバレあり

螢の帰還から始まり新たな秘密、新しい農業を中心に変わってゆく人々を描き、螢と正吉の結婚式で締め括られる

不倫の関係が終わりを迎えるも相手の子どもを妊娠した螢は一人で生きていこうと決意する。しかしそれに気付いた草太は援助をし正吉との結婚まで準備を始める

一方農薬や大型機械を取り入れる草太と五郎が作った堆肥などで農業を試みるチンタの兄完次の対立を通じて、変わりゆく時代で生き抜く人々の衝突と覚悟が描かれる

純はというとゴミ収集の仕事を続けながらシュウの家族との面会という一大イベントを迎えるわけで
富良野を離れて働くという決断をしたシュウと純の関係はギクシャクし始め
シュウはいつも明るく振る舞っていながらも実は内側で必死に闘っており
どこか儚く今にも消えてしまいそうな美しさ、宮沢りえが最高で
一文字一文字を丁寧に伸ばすような話し方も心地よく
後編では二人の関係もなんとか上手く行き安心です。
"同じ水が飲みたいです。同じ空気を吸いたいです。同じ太陽、あびたいです。一緒に笑いたいです"
純への深い愛が伝わるあのプレゼントも、葬式に飛んできたときも、その後の父親とのやり取りも全てがよかった

自分に借金がありながらも困っている螢へ20万円なら余裕だ、と用意する姿。妹のような螢をなんとか守ろうとする草太兄ちゃんがかっこよくて
「最近の若いもんは間違った子どもができのをすぐ堕ろすのなんだのと考えるができちまったものそれはもう命だ。立派にひとつの新しい命だ」
この言葉は自分の子供を亡くした草太だから言えると思われ
終盤の急逝はあまりにも突然のことであり、カセットテープの結婚スピーチにただただ感動するわけで

螢と正吉のことを知ったときの五郎さんの嬉し泣き、葬式の時の純の号泣が心に残る

今回は正吉が大活躍で、今までのちょっとしたやりとりが彼の螢への想いへの伏線となっていたわけで
雪子おばさん、6年ぶりの帰還も嬉しく

最後は中島みゆきの「時代」。富良野へ来て17年、もうすぐ終わりが近づいているわけで、、、









「正吉、螢、おめでとう
お前らが出来上がって、、、出来上がってはおかしいか、、なんだ、えーお前らが一緒になることになって、お兄ちゃん嬉しい。涙が出るぐらいほんとに嬉しい。だけどきっと一番喜んでいるのは五郎おじさんだとおらは思う。うん。おじさんはほんとに喜んでると思う。螢!お前忘れたらバチあたるぞ。お前が生きて、いっちょまえになって腹に赤ん坊押し込んじまって、正吉という素晴らしい男掴んで幸せのてっぺんに今いられるのはみーんなお前の親父さんのおかげなんだ。あの頃のことよくおら覚えてる。布部の駅に迎えに行ったとき親父さんに連れられて出てきたお前ら。いやーもやしみたいにこましゃくれた純と腹がぷくっとまだ出っ張った幼児体型のちっこいお前。そのお前らを二人抱えて親父さんがどんなに苦労してきたか。パイプの水を溶かしてた親父さん。夜中にお前らの寝てる脇でお前らの服を縫ってた親父さん。弁当作って届けてた親父さん。だめだ、思い出したら涙出ちまった。酒くれーー」
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