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北の国から 2002遺言のangryaoiのレビュー・感想・評価

北の国から 2002遺言(2002年製作のドラマ)
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一切見たことがない状態で2002遺言をリアルタイムに子どもの時に観て、その記憶だけがすごく残っていたのです。これじゃいけない、ちゃんとしないとって、まるでNISAの口座開くみたいな感じで襟を正してドラマシリーズの第1話を観てからもう5年ぐらい経ちましたが、一気に観れない滑り止めみたいなストッパーがこのシリーズにはあって、何回FODの月会員になったことでしょう。ようやく辿り着きました2002遺言。気持ちとしては、結末知って遡る、スターウォーズです。ちなみに、まだNISAはやれてません。

子どもの時の思い出ですが、佐野くんの家に泊まりに行った朝、おばあちゃんが、梅干しの種は食べるものだ、と言い張っていて、噛み砕くか飲み込むまでごちそうさまをさせてくれなかったんです。仕方なく飲んだことにして舌の裏に隠してその場を逃げて、汲み取り式のトイレに捨てたんですけど、もうこの話自体が不可逆性というか、色々もう到達できないシチュエーションな気がしています。その時期に見た2002遺言では梅干しの種を食べた五郎が呆れられていたから、僕は間違ってなかった、と当時思っていたことが、一気に思い出されました。

今思えば、その時の梅干しの種を食べろって言われて困惑している感じが少年の純に重なります。そして、そんな純は自分の中からは消えてしまい、今では梅干しの種は食べないものだと確信も持って突っぱねてしまうけど、歳を重ねたら、梅干しの種を食べてしまうかもしれない畏怖も同時に感じ、年齢軸によって感触が変わってくる恐ろしいドラマなんだろう、とノスタルジーの永久機関みたいな構造にただただ、怖さを感じます。
自分が、純になるときもあれば、草太兄ちゃんになるときもあり、まさかシュウになってしまうときだってあるかもしれない。その、北の国からどこから見るか?の多元チャンネルを楽しむドラマなんだな、と思わされました。
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