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チェルノブイリのyumikoのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
1986年4月26日に起こった、チェルノブイリ原子力発電所事故の一部始終。5話330分にわたって、事故発生から、直後の対応、全容の判明、事態収拾、原因の追及、裁判を描いた作品。

難しい科学的なこともわかりやすく説明されている。特にラストの裁判のシーンで、原子炉爆発に至った経緯は、本当にわかりやすかった。科学者の淡々とした真実の説明だからこそ恐ろしい。特にどうして被爆すると死に至るかの説明が怖かった。

「官僚や党員の無知で気まぐれな判断で大勢の人が犠牲になる。」このセリフ、私は、福島の原発事故でも同じことだと、ハッとした。他にも避難や除染など他人事ではないシーンがたくさん。

この作品を通して、この事故で、愚かなことでたくさんの命が犠牲になったこと、自分の命を捧げた人々、事態収拾に奔走した人々が居たことを、たくさんの人に知ってほしいと思った。





以下はあらすじをメモ。長いのでスルーしてね。最後の方は集中してたので、疎かになってます。

事故発生時は、大したことないと思ってた近隣住民たち。遠くだから大丈夫と見物する人々に灰が降ってくる。赤ちゃんもいるのに。

当直の技術者や初期消火にあたった消防士たちは、口々に金属の味がすると言い、みるみるうちに顔が赤くなり、嘔吐、倒れ込む。精度のいい放射能測定器は金庫の中。

招集された管理職の緊急会議では、全て制御下にあるから大丈夫ということしか言わない。そして公表しないという結論。住民を避難させるという意見などもってのほか。政府を信じよう!という老人を総立ちで称える恐ろしさ。街を封鎖し移動を禁止、情報を遮断し誤った情報の拡散を防ごうとする。

原子炉が爆発するはずがないと、部下からの報告を嘘だと決めつける。でも、制御棒が降りない。原子炉を見て来い!と言う命令。

翌朝、報告を受けた原子力研究所のレガソフ博士がゴルバチョフ書記長も出席する会議の前に見た報告書で青ざめる。シチェルビナ副議長とレガソフに現地調査が命じられ、次々とわかる事実が、本当に恐ろしい。ちゃんと線量を測ると、1時間ごとに広島に落とされた原爆2個分の放射能を放っていた。放射能は中性子の銃弾で、木や肉体などはもちろん金属やコンクリートも通過するっていう説明がすごくわかりやすい。これを知り、遠く離れたドイツでさえ子供達を外に出さないのに、チェルノブイリでは子供が普通に外出してる恐ろしさ。

この頃、世界にもこの事故が知れてしまい、やっと住民の避難を開始。

すぐにホウ素と砂5000トン用意して鎮火を目指す。ヘリで砂を撒くんだけど、近すぎるヘリコプターが、目の前で崩壊してしまう。そしてまた別の問題が…

300キロ離れたミンスクで、いち早く異変に気づいた白ロシア(ベラルーシ)原子力研究所のウラナ・ホミュック博士は非難する住民たちを横目にチェルノブイリへ。唯一この人物だけ架空で、数名の科学者を1人にまとめたんだって。(wikiより)

砂が溶けて溶岩となり地下に溜まった水と触れると水蒸気爆発をおこす。それを阻止するために水を抜く。そのためには職員3名が作業しなければならないがが、死ぬのがわかってても行くことをお願いする。死ぬのがわかってて行く3人。

原因を突き止めるために、操業していた職員が生きているうちに、聴取をするホミュック博士。目も当てられない状況になってる消防士や作業員たち。夫の看病に駆けつけた妻が窓から見る景色を嘘をつくシーンが泣ける。

メルトダウンした物質が、地下水を汚染することにより、さらに大勢の人たちの命が犠牲になるのを食い止めるため、地下に冷却装置を埋める作戦に。炭鉱の作業員が大勢チェルノブイリに、送り込まれる。

死亡した人達の棺にミキサー車という悲惨な光景。
ホロドモールを生き抜いたおばあちゃんも避難を余儀なくされる。
動物を殺す部隊の3人。

屋根に飛び散ったグラファイトを炉に落とすシーンはハラハラ。月面操作ロボットも放射能で壊れてしまい、人間の手で始末することに。1人一回の作業で放射線の量の限界から90秒しか作業できない!

そして裁判。この期に及んでまだ嘘をつく、ディアトロフ。爆発までの再現シーンが、本当にひどくて、この人が指示をしていたことがいちばんの悲劇だったのだとわかる。そして、ソ連製の装置の欠陥…それを指摘したレガロフ博士がひどく責められる胸糞感。

そしてエンドクレジット前の、実際の写真と事実の数々に、愕然とするの。
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