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チェルノブイリのQTakaのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
4.9
「嘘をつくたびに、真実へのツケが溜まっていくんです。
そのツケはからなず払わされる。」
科学の粋を集めた、極限の現場で起きた事故の原因は”嘘”だった。
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チェルノブイリ原発の爆発事故を描いたドラマ。
配信サービスで世界中で見られた衝撃のドラマ。
その事故は、時の流れとともに忘れ去られつつあるけども、人類最大の危機の一つだった。
特に、ヨーロッパでは、目と鼻の先で起こった、恐怖の事故。
今、その事故の真相を、現場の人々の様子を、こうしてドラマで突き付けられると、身の毛がよだつ思いだろう。
我々日本人にしてみると、少し思いも受け止めも違ってくる。
それは、1986年のチェルノブイリまで遡らずとも、直近で起きた2011年3月の事故の記憶が生々しいからだ。
福島の事故の真相を私達は知らされているのだろうか?
本当のこと、真実とは何なのだろう?
「安全」とは何なのか?
このドラマの受け止めは、まさに世界中でそれぞれなのだろう。
ただ、一つ、”真実”を知ること、そのための努力を怠ってはいけないのだろう。
このドラマは、万人に必見の一本だと思う。
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ドラマのクラマックスは、事故についての真実が語られる最終話の裁判のシーン。

ー 事故の責任を問う裁判の席 ー
主人公の原子力研究所の科学者ヴァレリー・レガソフ博士の発言の場面
判事によって、発言を遮られ、閉廷されようとするところに。
共に事故収拾にあたった閣僚会議副議長シチェルビナの恫喝とも思える一言
「話をさせてやれ。いいから、聞いてやれ!」
で、事故の核心が語られ始める。
-(以下レガソフ)
今危ないのは連邦ですよ。
秘密と”嘘”にまみれている。それが我々の姿です。
“真実”が襲いかかると、たくさんの”嘘”で覆い隠して無かったことにしようとするが、
“真実”は消えません。
“嘘”をつくたびに、”真実”へのツケが溜まっていくんです。
そのツケは必ず払わされる。
RBMK炉の爆発を招いた本当の原因は、”嘘”。

国家ぐるみでついてきた嘘が現場を危険な状態に導いた。
そして、その嘘の代償が、この事故だった。
嘘をつく、その嘘を隠す、吐き続ける嘘で膨れ上がったツケ。
そのツケを払わされたのだ。
それが、現場の真実だった。
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事故発生の真実。
現場で繰り広げられた地獄絵図の真実。
事故が避けられなかったという真実。
事故が起こるまで放置された欠陥の真実。
嘘を放置してきた国家の真実。
気づかなければならない”真実”が山ほどあったということだ。
それらを暴きながら、ドラマは展開された。
これらが、かつて起こった事実であるということ。
私達の国でも、同様に事故が起こったということ。
そこに、私達が知らされていない真実があるかもしれないということ。
山ほど、いろいろなことが去来するドラマだった。
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