もひ

ホット・ゾーンのもひのネタバレレビュー・内容・結末

ホット・ゾーン(2019年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

人類滅亡。或いは人類抹殺。
スクリーンの上で、画面越しによく見た光景。
敵はちゃんと明確な殺意や目的を備えていて、人類には抵抗する術があるし、見つかる。

エボラは、決して創作なんかじゃない。画面越しの存在でもない。
確実に、我々の住む世界の延長線上に存在しているし、我々は敵意すら認知できないままに、容易く殲滅されるだけの力をエボラは備えている。体内への侵入を許したが最後、抵抗する術なんてない。筋肉も、血管も臓器も脳も皮膚さえも、あらゆる細胞を生きたまま侵食され続けて血達磨にされて、最後は決壊して破裂する。だから見つからないように防護服で存在を隠し通して、彼らを隔離して、
つまり我々には、逃げる以外に術がない。

現実の脅威として、首都近郊で、自分の生活圏で、このエボラが見つかったら?
自分たちが、見つけてしまったら?

その脅威に対抗できる知識があったとして行動に移せる人間が果たしてどれぐらいいるのか。
その脅威に立ち向かう勇気と、覚悟があったとして、軍人という縦割りの組織の中で、横紙も破る勇気を示せる人間が、どれだけいるのか。

極限の状況の中にあって、目に見えないままに迫りくる恐怖と、自分自身と、組織と闘いながら、
一人の人間が示せるだけの勇気と、覚悟の力で困難に立ち向かう事の尊さを教えてくれる、
実際に起こった、英雄の話。

そう、これは現代の英雄譚だと自信を持ってお勧めしたい!

原作小説も併せて一読をお勧めしたい。
緻密な取材と、取材対象者本人への再現性の確認から描き出される、今そこにある恐怖を余すことなく味わえる。
もひ

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