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小さな神たちの祭りのotomisanのレビュー・感想・評価

小さな神たちの祭り(2019年製作のドラマ)
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 ああいい家族だなと思いながらも気持ちがざわざわするのは、手塚治虫の「カノン」を思い出してるから。
 あれは共感のしようもない。戦災体験を胸の内に仕舞い込んだ小学校教師が爆撃で死んだ小学校仲間から30年も経って同窓会の誘いをもらった話で、その最後、男のやはり救われないらしい思いに沈む夕闇の帰り道が、このまままた明日が来て学校に出てと続いて行くんだろうという。
 そのなにが問題なのかと云えば、あの災禍を生き残った事なのか、こんな自分が向きあう、せっかく生き延びたのに30年後の現実の困難事に敗けそうな事なのか、オレが子どもだから分からんのではなく、子ども心にも判じかねる、という事に気づかされる重苦しさが分かった事であった。
 やはり歳をとったと思うのは、今回これを見ても「カノン」の息苦しさを知っていても、千葉青年の家族はいい家族だなと、これで二人もいい家族を継いでいくんだなと感じるためである。
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