山岡

新スタートレック シーズン3の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

新スタートレック シーズン3(1989年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

前半のエピソードに退屈なものが多く、途中、2ヶ月ほど視聴をお休みしていた…がEP15から急に傑作回が盛りだくさんとなり、後半は1週間くらいで一気に見ることができた。

EP15「亡霊戦艦エンタープライズ”C”」はこれまでのシーズンのベストエピソードといえる。脚本は突貫で出来たものだそうだが、素晴らしい出来映え。タイムスリップものの要素にシーズン1で途中降板したターシャの物語を加えることで非常にエモーショナルな仕上がりとなっている。ウォーフの存在を使ってタイムラインの変化を表現しているのも上手い。ガイナンの抑えた演技も良い味を出しており、とにかく完璧なエピソード。

続くEP16「アンドロイドのめざめ」も傑作。データが人間らしい生き方に挑戦する回はいくつもあるが、その中でもぶっちぎりの出来。アンドロイドのデータが子を育てる過程で愛を知っていく様、また、データの愛を受けて子どものアンドロイドであるラルが感情豊かに育っていく様は実に感動的だ。当初、データの行動に懐疑的だったピカードが最後には彼を守ろうとする態度も胸を打つ。トロイが短期間で子の誕生から死までを経験するS2-EP1「光から生まれた生命」に似ているが、データの不器用さが要素として加わることで子を産み育てることの尊さがより伝わりやすくなった。

そしてEP17 「汚名 クリンゴン戦士として」…またしても傑作。シーズン2でライカーがクリンゴンに派遣されたエピソードも素晴らしかったがこちらも負けず劣らずの感動のドラマが展開される。ウォーフの生き別れの弟との突然の再会…誰よりもクリンゴン人としての誇りを大切にするウォーフが弟のために屈辱を受ける道を選ぶ様は最高にかっこいい。タイの寺院とブレードランナーを混ぜたようなクリンゴンの都市のビジュアルも素敵だった。

また、ダメな部下をどう更生させるかという問題に直面するラフォージの苦悩を描いたEP21「倒錯のホログラム・デッキ」は現代にも通じるリアルなお仕事ものとしてユニークかつ感動的な内容となっている。ちなみに最終話もボーグの存在の陰に隠れてはいるが、シェルビー少佐という血気盛ん過ぎる部下の処遇に悩むライカーを描いており、完全にリアルなお仕事もの路線のエピソードといえる。

とにかく、前半の低調ぶりが嘘のような傑作連発の後半の濃密さは衝撃的。最終話がグリフハンガーで終わってしまったので早く続きを見ようと思う。
山岡

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