渡邉ホマレ

今際の国のアリス シーズン2の渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

今際の国のアリス シーズン2(2022年製作のドラマ)
4.2
だ…ダセェ。
序盤のライブシーンで思い切りそう思ってしまった。

シーズン1よりもげぇむのゲーム性が薄れてしまっため、序盤から中盤にかけて駆け引きよりも、登場人物の掘り下げや関係性の構築に尺を割いている。そのためシーズン1の様なハラハラ感は少なく、やや退屈ではあった。
相変わらず鸚鵡返しの台詞、バジェットをこれでもかと注ぎ込んだであろう3DCGによる背景が、かえってあざとく感じられ、植物に覆われた東京の都市などはモロに「あ〜、ラスアスやりたいんだろうなあ…」という印象でしかなく、それほど感動的とはいえない。

夜のシーンはいくらなんでも暗過ぎて、正直何が行われているのかが分かりにくく感じられた。赤青ランプの色分けはキレイだったのでもったいなかったし、森の中はせっかくの身体を張ったアクションがもったいなかった。

ただ、むしろ予算にそれほど関係のない(もちろんセットなどは豪華ではあるけれど)部分のドラマや駆け引き、生身のアクションなどがつるべ打ちされる後半は見事。

特にチシヤが絡むげぇむのシーンは実にオモチロく、飄々と相手を手玉に取る彼の不思議な人間性と成長過程こそが、むしろデスゲームの主人公らしく感じられてお気に入りだ。

終盤の展開は冗長にも思えたが、それでも原作ありきとはいえ、全8話でそれをキッチリ描き切ったのだから文句の言いようがない。
例えばJ.J.エイブラムスだったら、もっとダラダラ続けていたに違いないのだ。
(原作はもうちっとだけ続くんじゃ…だが、それはやらんくて良いと思う)。

俳優の演技は皆素晴らしく、端役に至るまで人物造形がしっかり浮かぶ演技上手。子役も良かったし、ホントげぇむ参加者の名も無き人物であっても良い演技だった。
この辺りはシーズン1よりも格段に上だと思う。

もちろんいろんなツッコミどころはあるのだけれど、2シーズンでしっかり楽しみ切れるところが兎に角何より素晴らしい。(シーズンを引っ張るだけ引っ張って打ち切られる海外ドラマを散々観てきたので)。