パドゥ

沈まぬ太陽 第一部のパドゥのレビュー・感想・評価

沈まぬ太陽 第一部(2016年製作のドラマ)
4.5
1~8話、墜落事故まで。
官で7年、働いたことがあるので、上層部の特権階級意識、仕事の取り組みかたは容易に想像ができた。
日本のイヤーなところが出てた…。
年功序列、事なかれ主義、長いものに巻かれる、お上に弱い…
青田買いをして、何も分からない若者を従順な社畜にして行く日本企業。
最近でこそジョブ型採用だ、とかやっと言い出してるが浸透しない気がする。

権利の主張と、義務を果たさず不平不満を言うのは、全く別のことだと思うけど、物申さない日本文化では、真っ当な主張をすることすらはばかられる。
論理的な人より、感情論で動く人が多いので、論点もズレる。

恩地さん(モデルとなった小倉さん)が、規定に反した10年に及ぶ僻地勤務や、能力を評価されない中、退職されなかったことは、転職が一般的ではなかった時代とはいえ、頭が下がる。
特に、長い僻地勤務に馴染んでいく中で嗜むようになった狩りの趣味を見た子供たちに、お父さん、変わったね、なんて言われるナイロビのシーンは、離ればなれで暮らすことを余儀なくされたのが痛感でき、つらかった。

結局、執着質でズル賢いタイプが組織ではのしあがって行くのんだな、と改めて思った。
そういう人間が細かいことまで根回ししないと無理だし、そのタイプは仕事以外の利権が絡むことには猪突猛進に全力投球する。
会社の責務を考えてる人が疎まれる、そんな不条理に腹が立った。
そして官体質を引きずっているであろうJRが2005年に引き起こした尼崎の事故のことも思い出した。

それにしても60年代のサラリーマンは熱い!パワーがみなぎってる。今はストライキなんて聞かないし、そんなことする元気もない。

行天夫妻の配役(渡部篤郎と若村麻由美)が絶妙!
煮え切らない気弱な男が渡部篤郎にぴったり。若村麻由美も嫌味な役が似合う。
國村隼も演技もさることながら、声がいい。
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