リコ

あ・うんのリコのレビュー・感想・評価

あ・うん(2000年製作のドラマ)
5.0
見たのは1980~81年のNHK版だけどデータがないため、2000年のTBS版に記録。

降旗康男監督、高倉健・富司純子・板東英二が出演した映画版も見ていたけど、やはり正続編併せて全9話の元祖が素晴らしい。
特に向田邦子のファンでもないし、昭和嗜好もないけど、そんじょそこらの最近のドラマや映画にはない、ヒリヒリとした(でも品のある)人間の描写、男女の心の綾、欲と業の深さ…等などをたっぷりと堪能した。

よく考えれば、他愛もない三角関係の話なんだけど、それを戦争が近づく昭和初期の市井の中で、それぞれがデリケートバランスを保ち、かつそれに戯れているという構図に、まあどうしようもない色気がある。関係性のエロティシズム。
そんな人間関係を積み将棋に例えるシーンがあった。「おかしな形はおかしな形なりに均衡がとれて、それが皆にとって一番幸せなんじゃないか」とか何とか。そんな一種アンモラルな台詞を、どこぞのフランス人ではなく、フランキー堺が言うんだよ?(笑)あまりのエロエロしさに頭がくらくらした。

そしてもちろんキャストが皆さん適材適所。超絶美人やハンサムではないけど、うっとり見惚れてしまう。
特に吉村実子さんが最高に綺麗だった。気立てが良くてしっかり者で、うっかり手を出せない清潔感と、うっかり惚れ落ちてしまいそうな魔性とが同居してる不思議な人。

私個人の願望としては、ぜひNHKで再びドラマ化してほしい。キャストは文字通り"あ・うん"の狛犬のような博多華丸大吉のお二人と、富田靖子の『めんたいぴりり』リユニオンでお願いします!
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