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ロキ シーズン1のazitarouのネタバレレビュー・内容・結末

ロキ シーズン1(2021年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

”この”ロキはアベンジャーズとの戦いの後、ダークワールドを経てインフィニティ・ウォーで最期を迎えた”あの”ロキではない。では我々の知っているロキではないのか?いいや、彼も紛れもなくロキだ。独りぼっちのひねくれ者のいたずらの神。彼の本質はそのままだ。ただ一つ違うのは、エンドゲームでのタイム泥棒のゴタゴタに紛れ、宇宙のからくりに気付いてしまったということ。すなわちTVAの存在だ。

TVAの背後には神聖時間軸を”正史”として仕立て上げようとする傲慢さがある。アベンジャーズの地球の存亡をかけた戦いですら、予定されていた物語だと一蹴するグロテスクな真実。ロキの神の力を取り上げ、インフィニティストーンを文鎮代わりに書類仕事をするTVA職員の様子は、ファーフロムホームとは異なる切り口で「ヒーローの活躍なんてこんなものさ」とあざ笑っているかのようだ。

ロキがロキ自身を愛するということをラブロマンスを引用して描写した決断には敬意を表したい。一時とはいえ、男女のカップルという生物的に調和のとれた関係に落ちるというのは、まさに「ロキらしくない」を体現したものではないか。ファン一人一人が持っている「ロキらしさ」に対してさえ彼、あるいは彼女、あるいは愛らしいワニが「知ったことか」と牙を剥く。その程度のことで不安定になってしまう世界ならばぶち壊してしまえばいい。その先にあるのは予測不能の混沌の未来。無限の可能性を内包するマルチバースの世界。

……と、5話まで観た段階で書いた感想は以上となるのだが、最終話を観て頭を抱えてしまった。そういう着地の仕方をするのか……。そしてシーズン2に続く。そうか~~~そう……。でっかいクリフハンガーを残してくれたけど、この振り上げた拳をどこに下ろせばいいんだ???
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