MCUマルチバースへの道①
4次元キューブを持って消えたロキ、待ち受ける時空の異端審問局TVAの剪定処分。
稀代のトリックスターとして、悪役にも関わらず愛されキャラとしての人気が定着した悪戯の神。
『アベンジャーズ』一作目を起点としながら、サノスに殺害される時点に同期するようなキャラ変容。別バースの同一人物とはいえ、MCU映画6本分の足取りを1話でこなすテンポの早いこと。
原作に沿ったセクシュアリティの再定義、言って女性版ロキ(シルヴィ)の登場など次から次へと新たな展開が矢継ぎ早に繰り広げられる。
毎回新たなTVAの謎が明らかになるミステリ的な構図や、アクションよりも会話劇を重視したストーリーテリングは『ワンダヴィジョン』にも通じる要素。
一方で、レトロSF風な小道具のディテールへの拘りほか、練り上げられた世界観が物語への没入感を否が応でも高めている。それは序盤の展開が覆される後半部分での舞台装置としても上手く機能している。
それだけに、1シーズンで完結せずクリフハンガーで持ち越されるラストの展開やLGBTキャラに対しての保守的な姿勢にはやや肩透かしの気味も。
