HicK

ロキ シーズン1のHicKのレビュー・感想・評価

ロキ シーズン1(2021年製作のドラマ)
3.6
《ロキの成長が楽しい。でも、冷静に見てしまうと疑問が止まらない》

【今サーガの準備運動】
エンドゲームの直接的な続編であり、ロキを中心として繋がる世界観が楽しい。また、MCUで初めて別のタイムラインで生きる者が主人公になった作品。ある意味マルチバース第一作目。"変異体"を通して「外見も中身も違う同一人物」の紹介をした今作は、今後のマルチバースのための準備運動、根回しといった印象。

【面白い舞台設定】
時間を管理している「聖域」とも呼べるTVAが"お役所仕事"のように設定されているのが面白い。60年代のようなレトロな世界観や「トワイライトゾーン」のようなミステリアスな雰囲気も。

【成長するロキ】
ロキが自身の変異体たちを通して、自分を見つめ直すかのような成長物語は面白かった。特に変異体たちが集合する隠れ家のシーンは、ロキである事にウンザリしているような彼が好きだった。ナルシシストは自分に恋をするという展開も微笑ましい。

【ただ、矛盾が目立つ理論】
「エンドゲーム」ではマルチタイムラインを扱い、過去を操作するとその分いくつもの時間軸が発生するものとされていた。に対し、TVAは枝分かれを剪定し、時間軸は一本に留めているような描写(神聖時間軸)。

これ、アベンジャーズたちも剪定されるのでは?こっちのタイムラインに来てしまったガモーラも同様。また、別のタイムラインでその後の人生を過ごしてしまったスティーブも剪定の対象に。

序盤でロキは自分の未来を見たが、このロキは私たちの知ってる時間軸のロキではない訳で、それでも運命が一緒なところをみると、やはり神聖時間軸は一本。

【実は神聖時間軸が数本ある?】
もしくは、TVAが裏で時間軸の枝分かれを許容していたら話は通るかもしれない。アベンジャーズが枝分かれを発生させても「そのくらいならいいでしょう」と見逃していたり、もしくは"既定路線"と見なされていたりしたのかも。ただ、そうすると枝分かれの良し悪しは"脚本"が決めるという都合のいい話に。

今後回収してくれたら嬉しいなと期待。

【2種のマルチの疑問】
マルチタイムライン(エンドゲームでのタイム理論)とマルチバース(同じ人物でも異なる背景を持つ多元宇宙)は別物のはずが、どうも最終回でごっちゃになっていて、2回目に見た時の方が混乱した。結局よく掴めず…。

【総括】
疑問は別として、全体的に"雑談"が多く、友達とたわいも無い話をしながら道を歩いているように、非常にゆっくりと進んでいった印象。複雑な題材を考えるとこのスローテンポは逆に良かったかも。欲を言えば、クライマックスに何か手応えも欲しかったなー。

それでも今回のロキの変化には楽しませてもらったので、アベンジャーズたちと共演するのが楽しみ。今作は続編ありきの作品なので謎が多く、シーズン2に期待したい。早く見たい!
HicK

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