おいなり

ワンダヴィジョンのおいなりのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダヴィジョン(2021年製作のドラマ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ほんとに毎週毎週気になる引きでいろんな謎をばら撒いて、映画とは違う「毎週更新される」ことを最大限に利用したヤキモキ感を演出したワンダヴィジョン。
それがいい効果を生み出していたし、次どうなるんや!?と金曜日が近づくと毎週ソワソワして、配信期間中はずっとお祭りみたいでめちゃめちゃ楽しかった。その一方で、第一話からストップ高状態で期待値が上がり続けた結果、実際に終わりまで見ると「なんや……」と期待外れに終わる部分もあったりして、面白いドラマが必ずしも面白い作品になるかというと、ちょっと悩ましいところ。もう一回最初から見返してみたら感想も変わるかもしれないけど、とりあえず最終話をついさっき観た今のこの感情を書き残しておきたい。

MCU初、どころかヒーロー映画としても類をみないシットコムの導入に、死んだはずのヴィジョンがなんの説明もなく出てくるという不穏な空気。でもそれら全てが後半の種明かしで「繋がる」感覚は、本当に見事だった。
ラストは能力者大集合で、ワンダも久しぶりにマインドコントロール能力使ったり魔女アクション全開で、さすがに映画に比べるとCGI安いなとは思うけど、ちゃんとヒーローものの王道アクションに帰結するのはよかった。この微妙なバランス感覚がいまのマーベルスタジオの強み。覚醒ワンダは、どっちかというとフェニックスぽかったですね。「悪いけど……」「悪いなんて思ってないくせに」ここでニヤリ……って笑い方が完全に悪者で好き。
ついに能力全開のトミー&ビリーもカッコよくて、これからのMCUを担う若いヒーローを垣間見れたのは嬉しい。トミーは能力の魅せ方はピエトロなんだけど、子どもっぽい余裕綽々な戦い方はピーターっぽくて、クイックシルバーのいいとこ取りですね。将来が楽しみな二人。
ヘイワードは初登場から明らかに悪人然としてはいるんだけど、別にヴィジョンを利用して世界征服しようとかいうわけでもないので、もっとわかりやすい悪人にしたほうが良かったんじゃないかな。人道的には街丸ごとひとつ拉致監禁してるワンダのほうが罪人なので、ちょっとヘイワードはかわいそうな役回りでしたね。まぁ、安直に「誰が悪人」と言い切らないのは、MCUシリーズの美点でもあります。

AOUで登場以来ずっと不幸続きだったワンダの物語も最終回で一区切り。終わってみれば「ワンダのトラウマセラピー物語」という感じでしたね。
それでまぁワンダが救われたのかと言われるとすごく難しいところだけど、あまりにも悲しい別れ方をしてしまったヴィジョンとのお別れをキレイな形でやり直せたという点ではすごく意義がある作品だなぁとは思った。その結果、大きすぎる業を背負うことになったけれど……。全てが元に戻って、何もない空き地に取り残されたワンダが悲しかった。幸せになってほしい。
白ヴィジョンがうやむやなまま終わったのは、ヴィジョン復活とワンダの救いへの布石だと思いましょう。シーズン2あるのかな。
肉体とデータを受け継いだ白ヴィジョンと、構成物質は違っても精神性はワンダを通して再現されたヘックスヴィジョン。この二人の関係は、なんか「ボンバーマンジェッターズ」を思い出しました。名作。

シリーズで一番テンションが上がったシーンといえば、なんと言ってもエヴァン・ピーターズの登場!尻すぼみに終わってしまったFOXマーベルユニバースの中でも、ダントツで好きだったピーターが、予想もしないところで復活したことにリアルタイム視聴中は思わず声が出てしまった。
この後にいよいよマルチバースを扱うドクターストレンジが控えているとあってかなり期待したけど、結局なんでもないただのファンサービスにすぎなかったことが明かされた最終回の展開には、正直がっかりさせられてしまった。期待させるだけさせといてそれは……というのはワガママなファンのボヤキにすぎないけれど、やはりこのサプライズで喜ぶファン層は、もっと違うものを求めていたよなというのはある。
でもMCUだから、やっぱりそう思わせといて実は……をまた期待しちゃうよね。
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