HicK

ホークアイのHicKのレビュー・感想・評価

ホークアイ(2021年製作のドラマ)
3.7
《とても安全なファミリーエンタメ》

【ポップなコメディー作品】
クリスマス、クリントの父親感、ケイトの娘感、ワンコ、可愛いセリフの数々、ファミリーフレンドリーな作品かつポップでコメディ溢れる今作は、まさに家族で見たいクリスマスムービーに。個人的には「ホークアイ」として見たかったものとは違ったが、「エイジオブウルトロン」から唯一、一般人としての望み(家族との幸せ)を描いてきた彼に相応しくもあるのかもしれない。

【ホームアローン風】
特にジャージ軍団は「ホームアローン」の泥棒のような天然おバカな設定。他にもロールプレイの警官や消防士たちも、ちょっとバカっぽい。そんな彼らが織りなすコメディは楽しいクリスマス作品としてはぴったり。

【父になるために】
傷だらけのクリント。「生身の人間」演出が強調されている。同じく耳に障害を持つマヤとの共通点は身体的なものだけでは無く、復讐心による行動の危なさも共通していた。ローニンとしての罪とナターシャの死に向き合う事が今作の彼のゴールであり、全ての悔いを昇華し、過去を乗り越え、彼が"父"に戻る物語だった。

【好きだった場面】
1、2話は背景説明や、ミスリードと伏線の植え付け中心の展開で少し残念だったが、3話から本題が始まり、特に5、6話(最終回)で明かされる人物関係が面白かった。3話のターンするカメラワークでのカーアクションや、終盤の平行移動のカメラが追いかけるケイトvs"暗殺者"の見せ方が好きだった。"マヤのおじさん"や"暗殺者(妹)"の登場に驚き、特にその妹が好きだったので嬉しかった。今後、ケイトと親友になってくれたら、先代の踏襲として更に嬉しい。

【ただ、安全すぎる】
楽しい雰囲気でホッとできる反面、とがった要素が無くMCUの必須項目だけを満たした"安全作"にも感じてしまう。緊迫する中での小粋なジョーク、画的なヒーローモーメントで魅せるアクション、他作品とのリンクと友情出演、軽快なテンポ、など全てにレ点が入り「MCUとは」を示す名刺的作品にはなっているのだが、個人的には他の作品よりも好きな特別な何かは無かった。ホークアイとしての特性を踏まえると楽しい雰囲気に彼の"渋さ"が消されていたようにも思う。

【総括】
クリントの持つ過酷な背景に反してとても無難な作品だったという印象は否めないが、クリスマスの楽しい雰囲気やMCU作品共通のサプライズもあり楽しませてもらった。家族で楽しめる作品。
HicK

HicK