サンタフェ

ユーフォリア/EUPHORIA シーズン1のサンタフェのレビュー・感想・評価

4.0
久々にきたヴァイオレンスファッションドラマという感じで最高でした。

全編を通してとにかく治安が悪い。薬、暴行、ポルノ動画、現代社会の治安の悪さが集結しています。しかし、この作品の特徴はそれを大真面目に社会問題として扱うというよりは、それらの問題を美しい映像とともにどうしても逃れられない魅惑としてエンタメに昇華しているところ。

作品内の治安の悪さやインモラルさは中途半端だと気になってしまいストレスを感じますが、突き抜ければ逆に爽快であるという創作の大原則を思い出せる作品でした。邦画であれば「乾き。」などは同じような雰囲気で好みでした。

本作では様々な社会問題は描かれるものの、作品から社会に対する絶望感に浸りたいという欲求は感じられません。近年の延々と皮肉的な斜に構えた作品の数々には食傷気味だったので久々に痛快な作品が来たなと感じました。

一方で時代観は「Z世代」を推し出しているだけあってSNSや仮想通貨などの時事ネタやジェンダーなどデリケートな問題の扱い方は見事。とりわけジュールズはこれ以上ない魅力的なキャラクターとなっていましたね。当たり前のように存在するトランスのキャラクターという描き方は素敵でした。

ジュールズとルーのカップリングも素晴らしい。ゼンデイヤは言わずもがな素晴らしいですが、ゼンデイヤに全く負けないオーラを放つハンター・シェイファーも最高でした。gleeのカートのように役者さんが唯一性を付加するようなキャラクターがいると作品の魅力が一気に上がりますね。

スタジオはミッドサマーなどで知られるA24ですが映像や演出はかなりA24色は薄め。NetflixやAppleTV+に比べてクラシックな作風が特徴のHBOとうまく中和し合っていたような気がします。

シーズン全体としての満足度はかなり高かったのですが、途中まで複雑に絡み合ったシナリオを描いておいて全てをぶん投げる最終話で冷めてしまったのでこの点数です。この作品は映画ではなくドラマなので、こんな感じで永遠にシーズン2、3、4と引っ張られるのかな…と作品への信用が一気に落ちました。
サンタフェ

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