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背徳の夜食(汁だく牛丼編/背脂ラーメン編)のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

3.8
汁だく牛丼編
肉が大好きな仁美(橋本マナミ)は、恋人である浩史(深水元基)に太ったと指摘されたことをきっかけに菜食主義になり、体重管理を徹底するようになった。浩史と結婚後も理想の体型をキープしており、自身のブログに逐一ヘルシーな献立メニューを書き込んでいる。夫婦仲も順調で毎日一緒に夕食を摂っている、と書き込んでいるが実際は旅行会社に勤めている浩史は新規プロジェクトのために帰りが遅くなる日が続いていて、仁美のことを邪険に扱っている。
そんな折、朝帰りした浩史の財布の中に、雑誌やテレビのワイドショーの不倫のニュースで頻繁に取り上げられている「姫ホテル」のメンバーズカードが入っているのを発見してしまう。「結婚記念日の夕食はご馳走を作って待っているから」と約束するが、浩史は約束した時間になっても帰ってこない。電話も通じないことで、徐々に不安が募っていく。そこへ同僚の百合から電話が入り、「姫ホテルの近くで浩史らしい人物をみかけた」と聞かされる。写真を送ってもらうと確かに浩史らしき人物が女性の肩を抱いてホテルに入るところが写っている。衝動的に家を飛び出した仁美は牛丼屋の前を通りかかるが、葛藤の末そのまま牛丼屋に入店し、ずっと我慢し続けてきた汁だく牛丼の大盛りを生ビールと共に貪る。
背脂ラーメン編
会社では仕事をばりばりとこなすクールなビジネスマンとして一目を置かれている祐介(北村有起哉)だが、家に帰ると妻である沙織(濱田マリ)の尻に敷かれている。健康診断の結果、E判定で再検査となったことを「夜中に呑んだあとにラーメンを食べているからだ」と沙織に厳しく叱責され、再検査でちゃんとした結果が出るまで節制生活をするように申し渡される。
翌日から朝はスムージー、昼もブロッコリとアボカドだけの弁当を持たされる。ランチミーティングでは、目の前で部下たちがおいしそうな昼食を食べる姿を羨ましく眺め、家に帰れば、沙織と娘の美保が焼肉を食べている横で質素な食事を味気なく済ませる。
そんなある日、上司の高橋に連れられて居酒屋に行くとそこには部下たちの姿がある。実は、部下全員が異動願いを出していて、高橋が部下たちの不満を聞かせようと祐介を連れ出したのだ。祐介は部下たちとはいい関係を築き、最良のパフォーマンスを引き出せていたと自信を持っていただけにショックが大きい。部下たちが帰ったあと一人で自棄酒を呷り、その後タクシーに乗り自宅に向かうものの、ラーメンへの誘惑に抗えない。葛藤の末、途中でラーメン店に引き返し、罪悪感と後悔に苛まれながらも、背脂たっぷりのラーメンを啜るのだった。
普段は恋人や仕事や家族のために喰いたいものを我慢している主人公が、その目的を忘れてしまうような状況でついに我慢していたものを欲望のままに貪るというストーリーを、橋本マナミや北村有起哉が「背脂たっぷりのスープの中で溺れてしまいたい」など欲望剥き出しの台詞を連発しながら牛丼大盛りや背脂たっぷりのラーメンを貪るコミカルな姿や表情で描かれていて、食欲をそそるグルメドラマ。
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