こたつむり

女王の教室 エピソード1〜堕天使〜のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
★ ことことと 揺る ひとかけら 悪戯に
  はらはらと 吹き 流れていた 雲のよう

『女王の教室』の前日譚。
つまり、本編では描かれなかった阿久津真矢の過去。こういうのは難しいですね。未来は視聴者が知るところにあるのですから。

でも、本作はキチンとまとめていました。
目新しくもないけど飽きさせない。これは地味だけどスゴイ話です。往年の川相選手(元巨人)が犠打世界新記録を達成したくらいにスゴイです。

特に主演の天海祐希さんは流石ですね。
本編に於ける天童先生のような“青臭い理想に燃える教師”は違和感の塊でしかないのに、それがいつしか当然のように馴染んでいるのですから。

他にも矢部…じゃない生瀬勝久さんも同様。
明るくて優しい男性という姿と、現実を見据えて厳しくなる一面と。その両方を短時間で見せてくれました。ただ、どうしても矢部…じゃない他番組の印象が強いのは否めませんが。

あと、配役で言えば。
若かりし頃の戸田恵梨香さんも出演していたんですね。正直なところ、最初は気付きませんでした(相変わらず僕の目玉は銀紙です)。いやぁ。若い頃から演技派ですね。

まあ、そんなわけで。
本編を補完する立ち位置の物語。
それゆえにカタルシスを求めるのではなく、主人公の心情を探るような視点で臨むが吉。他人を知る姿勢が本当の愛である…それがテーマだと思いますので。

そう思えば今の世界で足りないのは愛。
何かあればすぐに「炎上」と言われますが、背景を踏まえた上で批判しているのでしょうか。どうにもこうにも表層だけで捉えているような気がします。

それに多様性と軽々しく口にしますが(勿論、僕もその中の一人です)本当の多様性とは、相容れない意見すらも飲み込むこと。正義と悪に区分してしまうのは確実に間違っているのです。

…なんて、本作を鑑賞した後は色々と考えてしまいますね。愚息にも響いていると…良いんだけどなあ。
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