こたつむり

ストロベリーナイト パイロット版のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
今回は再鑑賞。
最初に観たときは“ミステリとしての展開”に期待しすぎて正当な評価が出来なかった…と悔やみましたんでね。再挑戦した次第です。

で、結論として。
やはり、先入観は“毒”になりやすいと再認識しました。本作が面白いのはミステリ的な部分ではないのです。

要は、男社会の中で女性が闘う物語。
それが屋台骨として作品を貫き、際立たせるように警察内部の争いを描いたうえで捜査に対して硬派な筆致。まるでWOWOWのドラマと見間違うほどでした。

この辺りは演出の勝利ですね。
『キサラギ』や『脳内ポイズンベリー』を仕上げた佐藤祐市監督が携わったからか、地上波っぽい雰囲気を排除できたのかも。あくまでも推測ですが。

また、出演陣も豪華絢爛の極み。
遠藤憲一さんや髙嶋政宏さんなどは連続ドラマを見据えた起用なのか、出番が少ないですし、津川雅彦さんなんて完全に端役。贅沢な話ですよね。

それでいて若手(2010年当時)の起用も見事。桐谷健太さんと林遣都さんの配役は“先見の明”があったと思うほどに大ヒット。息が詰まる組織の中で奮闘する若者らしさ(約一名除く)にググっと来るものがありました。

ただ、翻せばそれは弱点にもなるわけで。
終盤の展開が“フニャフニャ”だったのは演出が見誤ったのと、経験値の少なさが影響したと思います。あと、予算的に地上波の限界かもしれません。

しかし、それでも全体的なバランスは格別。
細かい部分は忘れましたが、連続ドラマ版は尻すぼみだった記憶があるので、第一作目にして最高峰を極めたのかもしれません。そもそもタイトルからして…ごにょごにょ。

まあ、そんなわけで。
硬派なサスペンスを期待しても裏切られない傑作。“どんでん返し”とかの小細工ではなく、竹内結子さん演じる主人公が孤軍奮闘する物語として捉えるが吉です。あと、西島秀俊さんの代表作でもありますね。「菊田ぁ!」と呼ばれる姿が最高に似合っていましたから。もしかしたら下僕体質なのかな。
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