Benito

ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜A Stranger in ShanghaiのBenitoのレビュー・感想・評価

4.4
【 芥川龍之介と上海の繋がり 】

NHK BS4Kによるスペシャルドラマ。
2019年12月30日放送。73分。

芥川龍之介は1946年7月に服薬自殺した時、上海で買った布地で仕立てた浴衣を着ていたという。黒澤明の映画「羅生門」が公開される4年も前のこと。

芥川と上海を結びつけたのは、海軍大学の講師を辞めて、大阪毎日新聞社に入り記者としての初仕事が1921年に上海をはじめとする巡歴。その経験を紀行文にしたひとつ「上海游記」がドラマのベース。芥川が特に上海で見た情景、感じたこと、会った人々などの事は生涯ずっと残っていたのだと感じさせるドラマ。松田龍平演じる芥川龍之介の佇まい、淡々とした台詞回し、冷めた感じは新鮮だった。

スタッフロールも大半が中国人だったし、ほぼ中国でのロケ・撮影、衣装も当時の裁縫スタイル、劇伴も当時の楽器を使用されてたりディテールへのこだわりはさすが。そして「無限の住人」をはじめ三池崇史映画の常連の北 信康が担当している映像美には圧倒された。

劇伴は稲本 響。全18曲。
サントラジャケットデザインがお洒落。
"ある物書きのポトトレイト" の3つのバージョン、"赤い聖餅" の3つのバージョンをはじめ、憂いもあるし、ユニークなサウンドもあり、スケール感ある60分の力作。
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