軽い気持ちで見始めたらなんだめっちゃくちゃ面白いやないか!
これは歴史を知らなくても大河ドラマとして絶対に面白い。
ラブ要素ほぼなしの正統派史劇だけど、後宮ドラマを観てるだけでは理解できない“皇帝とはなんたるか“に胸が震えた。
希代の名君といわれる清国第四代皇帝・康熙帝。
わずか8歳で即位したとはいえ親政までの長い道のり、やっと掴んだ親政では政権を握る高官をはじめ絶え間なく存続の危機が顕になり内憂外患山積み。
投げ出す事のできない皇帝という立場を守り降りかかる諸問題を必死に処理してゆく康熙帝を応援、時にはドン引きしつつ、彼の人間力には感心しきり。
その有能さを持ってしても、老練な臣下に利用され血涙を流したり人間を見誤っての失敗などを経て成長する姿がフィクションも交え克明に描かれてました。
そして常に外敵より恐ろしい内部から腐ってゆく朝廷で、人知れず挫折を繰り返し人間不信や非情さを膨らませる晩年には寂寥が滲む。(今作では九王奪嫡はかなり端折ってます)
演出はオーソドックスながら、主演の陳道明はもちろん、幼年少年期を演じた俳優たちがいい。
脇を固める大臣官吏などはそれぞれの人物が綿密に描写されておりベテラン俳優たちの堅実な演技とともに見応え充分。
中でも孫の皇帝を常にサポートする皇太后(孝荘文皇后)を演じたスーチン・ガオワー(斯琴高娃)が鳥肌もの。後の歴史がわかってる脚本だからこその台詞のひとつひとつがbot化したいほどの名言で紡がれる。まさに彼女がこの物語のもう1人の主役でした。
即位直前から崩御に至るまでの61年間、全50話。いっときもダレることなく観るのを止められずに気がついたらもう真夜中、そんな日もあったほど。こんなの久々。
とにかく面白かった。バリッバリの政治劇に満足、満足、大満足。