ぺむぺる

悪魔の手毬唄〜金田一耕助、再び〜のぺむぺるのレビュー・感想・評価

2.0
味も素っ気もない金田一第二弾。ギャグのキレだけは前作(同製作陣による犬神家)より堂に入って見えるものの、相変わらず映像付きのあらすじみたいな作品だ。物語を箇条書きにして語りを放棄することと、「テンポが良い」といわれる映像表現はまったく違うということに早く気づいたほうがいい。

そんな平板な展開の中で異彩を放っていたのは旧金田一こと古谷一行演じる磯川警部であるが、彼の存在感が良いほうにも悪いほうにも作用して結果的にかなりトンチンカンな作品になってしまっている。すなわち、ファンサービスとしてはニンマリさせられる場面もあったが、正直「そんなことをしている場合ではない(尺的に)」であるし、使い方がやや飛び道具的で「特別感」が甚だしい。話の傍流にすぎない人物にドラマ部分をほとんど担わせるなど暴挙に等しく、しかもそれが犯人のドラマを完全に食う演出及び演技なのはいかがなものか。

本来であれば、犯人のドラマがメインで、スパイスに金田一、磯川警部のエピソードは隠し味といったところだろう。隠し味を前面に押し出されては、もはや何を食っていたのかわからない。そんな方向性の定まらない、パンチ力不足の闇鍋。
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