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ディキンスン ~若き女性詩人の憂鬱~のshunのレビュー・感想・評価

4.6
へイリー・スタインフェルド目当てでずっと観たかった本作、Apple tvの無料期間中なので早速観始めました。

主人公は実在した女性。生前は無名だったものの死後2000編近くの作品が発見され、現在では世界中で高い評価を受けている天才詩人です

セットや衣装は時代に合わせてちゃんとしてて伝記作品と言うか歴史物っぽいけどBGMは洋ポップ、キャラクターたちのセリフも現代のコメディドラマって感じ
既存の伝記ドラマとは少し違ったテイストで彼女のことを全然知らなかった私でも取っつきやすかった。
そう言えば母親役で「アリー my Love」で秘書エレインを演じていたジェーン・クラコウスキーが出ていました

全体的に軽く進むけど扱うテーマは毎話考えさせられます。
移民や女性の社会進出、奴隷制など19世紀のアメリカの抱える問題が数多くテーマ登場しますが、どれも現代社会を意識しているかのような話で語られる。
父親からは詩を書くことに対して抑圧を受け、母親には結婚を急かされるエミリー
それでも書くことを止めず、家族や友人と衝突しながらも自分自身を見つけようとする姿が描かれます

そんな彼女の一番の理解者は親友のスー。この二人の関係が好き。まず演じるエラ・ハントがめっちゃかわいい。
親友でありながらロマンチックな関係にもあった二人のシーンは美しいです。
特に2話の最後の「火山」のシーンは素晴らしかった。
ベッドの二人と火山の映像が交互に流れその上にエミリー詩が映る。そしてBGMはMitskiの"Your Best American Girl"。
Mitskiって映画「パーティで女の子に話しかけるには」でも曲が使われてたのが記憶に残っていて、今回もインパクトがあるシーンでした。
最終話にスーに贈った詩も好き。

このドラマを知る前はエミリー・ディキンスンという詩人については全く知らなかったし詩にも興味はありませんでした。
でも彼女の詩を通してその人生を想像し現代らしい映像技術で描くこのドラマはとても楽しく、一つ一つの詩に込められた愛や信念をより知りたいと思えました。

へイリーの魅力も大きいでしょう。少し反抗的ながら自分自身を曲げることなく貫き通す強い女性。こういう娘役を演じさせたらハリウッド1だと思う。

1話30分程度だし1シーズン10話だけなのでサクッと観終えることが出来ました。無料期間終わるまでにあと2シーズンは余裕です。

I spilt the dew-
But took the morn-
I choose this single star
From out the wide night's numbers-
Sue-forevermore!
shun

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