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私という運命についてのゲルトのレビュー・感想・評価

私という運命について(2014年製作のドラマ)
3.7
原作が好きなので、DVDを借りて視聴。
小説の実写化の特徴のひとつに、原作だと登場人物が結局作者の分身に思えるけど、俳優が演じるとその印象が薄まるというのがあると思う。これもそう。
最初は原作のイメージ違うと思っていた江口洋介はすぐに康に見えるようになったし、永作博美も亜紀だった。
中でも亜紀の父役の塩見三省は特に良かった。ウェディングドレスの件とか。

通信手段がどんどん進化していくことで視覚的に時間の変化を感じられる演出が良かった。あと新潟と福岡の方言や、ちゃんと役者が英語を話すところも。
映像になって特に良かったのは、長岡の佐藤酒造のセット。文章だけだと、見たことがないものは想像できないから、こうしてビジュアル化されて、康や康の母の人物像により説得力が持たされたように感じた。

ただ、制限された尺の中で大筋はよくなぞれてたけど、原作のテーマ性は弱まってるように感じた。白石小説の魅力は理屈っぽさとスピリチュアル感だと思うので。
康が癌になったから亜紀と結婚できた〜という運命を物語として描くなら、明日香が怪我をしたことで環境を変えることができた運命も描くべきだったと思う。
あと自分が原作で好きだったシーンが結構省かれてて残念だった。仕方ないけど。
あと演出のトレンディドラマ感強くてちょっと笑っちゃうくらいだった。
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