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英二ふたたびのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

英二ふたたび(1997年製作のドラマ)
4.8
8年の刑期を勤めて出所した小川英二(長渕剛)は、働き口を探そうとするも、殺人の前科者と言うことで、なかなか見つからなかった。そんな時、タクシー乗り場にて順番を守らぬ若者達を注意した花田(夏八木勲)が攻撃されているところに遭遇し彼を助ける。その縁で英二は花田の家に居候することになる。花田には一度嫁に行ったが離婚して出戻った長女の沙恵と、薬害エイズで余命短い次女のマリ(中山エミリ)がいた。英二は花田の工場で働くことになる。
しかし花田の工場にある日、かつて英二が若頭を務めていた八田興業の人間が乗り込んでくる。しかもその八田興業のヤクザは、かつての英二の舎弟であり、ヤクザからは足を洗ったはずの常吉(哀川翔)だった。カタギになれず妹のあずさと別れた常吉は、英二の舎弟だった頃の真っ直ぐさを無くしてしまった。変わり果てた常吉の姿に、英二は憤りを隠せなかった。
花田の工場を取り上げるため昼となく夜となく嫌がらせをする八田興業のヤクザを撃退する英二が邪魔になった八田興業のボス湯沢(柴俊夫)は、常吉に英二の殺害を命じる。かつての兄貴分の英二への忠誠心とボスへの仁義に苦しむ常吉。
そんな時、マリは容態が急変して心がすさむ。そんなマリに懇願され、英二はマリが生まれた故郷の海へドライブに連れて行く。久しぶりに心穏やかなひと時を過ごす英二とマリ。
英二を殺せない常吉に業を煮やした八田興業のボスは、英二を始末するため花田を拉致する。英二は、花田への一宿一飯の恩を返すため単身で八田興業に乗り込む。
伝説のドラマ「とんぼ」の続編。
「筋の通らないことが許せないどこまでも筋を通す男」という小川英二の根っこはそのままに、「自分のそんな生き方が弟分の常吉や妹のあずさを傷つけたことへの悔いと悲しみ」を背負い、相手の事情を斟酌出来る懐の深さを得た小川英二の成長を、8年間の中で紆余曲折があった長渕剛だから演じ切れた深みを感じる。
前科者である自分の事情を知りながら花田から一宿一飯の恩を受けた英二と前科者である過去から英二を受け入れる花田の、任侠映画のような男同士の濃厚な友情。
英二の妹のあずさのような純真さを持ちながら、薬害エイズで余命幾ばくもないマリと英二のほのかな交流。
状況は変わっても変わらない英二と常吉の仁義。
空手を取り入れてより洗練された英二のヤクザアクション。
英二とマリが宮沢賢治の「雨にもマケズ」を読むシーン、花田が自らの過去を英二に打ち明けるシーン、英二が常吉と対峙するシーンなど、ドラマ「とんぼ」のファンにとっても満足出来る名シーンの連続。
「とんぼ」の続編としても黒土三男と長渕剛のコンビ作の中でナンバー1のヒューマンアクションドラマ。
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