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知らなくていいコトのmaroのレビュー・感想・評価

知らなくていいコト(2020年製作のドラマ)
3.5
週刊誌記者の真壁ケイト(吉高由里子)が、殺人犯とされていた父親の真実を追及していく親子物語。
最後まで観たからこそ、タイトルの重みがわかる。

このドラマは実にいろんな要素を含んでいたのが魅力的なところ。
日々の仕事と父親のことに加えて、、、かつての恋人との不倫っていう男女の情愛も。
みんなリアルの不倫は叩くのに、尾高由一郎(柄本佑)の沼にはハマるんだなあ(笑)

それにしても、普通に考えてケイトの人生はかなりハードモードじゃなかろうか。
人に嫌がられることも多い記者の仕事だけでも肉体的・精神的に激務だと思うのだけど、父親が殺人犯(とされていた)という状況に加えて、不倫まで付いてくるなんて、なんかそういう星の下に生まれたよね絶対っていう運命の持ち主。

しかし、だ。
僕だったら即効詰んでますわっていう状況の中で、すべてにおいて逃げずに向き合っていくのが真壁ケイトの見習うべきところだと感じた。

仕事においては、基本スタンスはひょうひょうとしていて、流れるように「行ってきまーす」と取材に赴くフットワークの軽さを持ちつつ、対象となる事件や関係者には徹底的にへばりつく姿はプロ意識の塊。
時に無茶もするけれど、圧倒的な行動力の裏には取材対象となる人の気持ちを考え、切り口を変える柔軟さも持ち合わせているので、頭のいい人なんだなって思う。

父親にしたって、出所した後にまず会いに行き、その後も尾高さん(なんか、さん付けしてしまうw)の後押しがあったとはいえ、きちんと話そうとしてるからね。
自分の社会的立場を危うくするような父親、普通だったらなかなか会えるもんじゃないけど、彼女の行動力が成せる業だろうな。

そんな仕事と父親のことでだいぶ振り切った日々を過ごしているってのもあるんだろうか、恋愛も理性うんぬんよりも心が命じたことに従ってるのかなと思った。
だから、妻子がいるとわかっていながらも、溢れる想いを留めておけずに尾高さんを求めちゃう。

最終回ではすごい踏みとどまり方したけど、あれはケイト自身が「親」という存在に並々ならぬ想いがあったからだろう。
彼女の人生があってこその選択だね。

そんな尾高さんもね、いけないことをしつつ、実はすんごい気遣い屋だなーと思ってて、第6話で「さりげなく両立なんてできない」なーんつって、ケイトの気持ちを弄ぶようなことはしないところがナイスガイ。

最終回でちょっと暴走気味だったけど、それだけケイトといっしょにいたかったというこの裏返し。
冷静を装ってはいるものの、内に秘めた熱い想いがとろっとろに出てるから、いつもケイトとキスするときは、カメレオンが獲物を捕らえるかのようにシュバって抱き寄せる。

そして、このドラマで重要な役割担ってるのが、僕は岩谷進(佐々木蔵之介)編集長だと思うんだよねー。
ケイトが仕事に打ち込めるのは、彼の力が大きい。
どーんと構えて、「何かあったら何とかしてやる」というオーラ全開で、やっぱ上司の存在って大きいよなー。

しかも、仕事だけじゃないんだよね。
ケイトと尾高さんのこともちゃっかり気にかけてるところが、もうイケオジかと。

第8話で「尾高が"両立ができない"と言ったのは、どっちつかずの方が不誠実だとアイツは思ってんだよ」とかしれっと男心をケイトに伝えつつ、「奥さんと子供に同情するなんておこがましい」「ケイトらしくまっすぐ尾高を追い求めろ」なんてお叱りまで。

いや、それ不倫の助長ですから!と思ったものの、まあ彼も『黄昏流星群』でバリバリ不倫してたからね、経験者かく語りきなのかなと(笑)
僕は仕事関連の人に身の上のことはあまり知られたくないけど、あんな編集長みたいな人がいたら、そりゃ「どこまでも付いて行きます!」と思うわ。

あと、推したいのが野中春樹(重岡大毅)!
ケイトの元恋人なんだけど、こいつのクズっぷりとキモっぷりの怪演がすごくよかった!
ジャニーズなのにこんな役やるんだと意外だったけど、あの不気味さがまたクセになるわwww
途中までそんなに目立ってなかったのに、終盤で一気にアクセルふかしてきたね~。

でも、僕はゆとり全開でいっつも怒られている福西彰(渕野右登)のスタンスが一番共感できたな(笑)

ずーっと思ってたけど、尾高さんみたいに、集中して何かできるスタジオ欲しいな。
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